【2021年】

(5月1日)
新型コロナウイルス感染の収束が見えない中、夏の東京五輪・パラリンピックをめぐり、立憲民主党など野党内で中止や
延期に言及する幹部が相次いでいる。
政府は開催する姿勢を崩していないが、5月11日が期限の緊急事態宣言が延長されるなど状況に改善が見られなければ、
一段と声が強まることも予想される。
立憲の泉健太政調会長は28日の党会合で「国民の生活・命を守るため、断念も含めて真摯(しんし)に検討すべきだ」と
強調した。
同党はこれまで五輪開催の是非について明確な発言を控えていたが、コロナ感染の「第4波」突入を受け、踏みこんだ。
共産党の志位和夫委員長も22日の記者会見で、「緊急事態宣言を発令しながらあくまで開き続ける姿勢に立つと、正しい
政策判断もできなくなる。中止の決断を直ちに行うことを重ねて、重ねて求めたい」と訴えた。
野党からこうした声が上がるのは、7月23日に迫った五輪開幕を前に、なお感染封じ込めに至らない政府へのいら立ちが
ある。
東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長も政府と足並みをそろえつつ、28日に無観客開催の可能性に言及。
ただ、当初900億円を見込んでいたチケット収入がなくなれば、さらなる国民負担につながりかねない。国民民主党の
玉木雄一郎代表は開催延期も検討すべきだと語る。
緊急事態宣言の期限直前の5月10日に、菅義偉首相出席の下、衆参両院で予算委員会の集中審議が実施される。
野党側は立憲の枝野幸男代表らが質問に立つ予定で、五輪についても厳しく追及する構えだ。
一方、与野党には、「都民ファーストの会」を率いる東京都の小池百合子知事が今夏の開催断念を、7月4日投開票の
都議選公約として打ち出すとの臆測も流れており、動きを注視している。

(5月2日)
東京都議選(7月4日投開票、定数127)の投開票まで約2カ月となり、各党は準備を加速させている。
都議会第1党の座をめぐり、小池百合子知事の下で前回躍進した地域政党「都民ファーストの会」が維持するか、4年前に
大敗した自民党が奪還するかが焦点だ。また、自民、公明両党で過半数に達すれば、小池知事の都政運営にも影響を与え
そうだ。
各党の公認候補は1日現在で都民ファ45人(現有議席46)、自民59人(同25)、公明23人(同23)、共産党29人(同
18)、立憲民主党27人(同7)など。このほか、日本維新の会や国民民主党、れいわ新選組も擁立。無所属を含めて200人
超が出馬を予定しており、さらに増える見通しだ。
都民ファは「前回並みの50人規模の候補者を擁立する」(幹部)方針で最終調整している。
ただ、「党運営が不透明」などの理由で離党者が相次いだ上、4年前に選挙協力した公明との関係が悪化。
選挙実績が少ない1回生が多いことも不安材料だ。
自民は前回60人を擁立したが、「小池旋風」のあおりを受けて過去最低の23人の当選にとどまった。その後、都民ファと
組んだ公明と関係を改善し、選挙協力を復活。自公で再連携し、議席奪還を目指す。公明も8回連続の全員当選を確実に
したい考えだ。
共産と立憲は共倒れを防ぐため、1、2人区で候補者調整を進めているほか、維新も独自候補として9人を擁立。
現在議席を持たない国民やれいわも、議席獲得に向け準備している。
都議選はこれまで、その後の国政選挙の前哨戦に位置付けられてきた。今回、衆院選の前に行われた場合、選挙結果は
菅義偉首相の解散戦略に影響を与えそうだ。

(5月3日)
与野党は3日の憲法記念日にあわせ、声明や談話を発表した。改憲に前向きな勢力は、3年近く継続審議となっている
国民投票法改正案の早期成立を訴えた。
自民党は、立憲民主党との間で、国民投票法改正案について今国会で「結論を得る」と合意したと指摘。「野党からも
積極的な意見が出され、憲法改正実現に向けた歩みは、与野党を越えて着実に前進している」とした上で、「国会の場
で活発な憲法議論を行う」と強調した。
公明党も、国民投票法改正案の「早期成立に努める」と明記した。日本維新の会は「国会における憲法議論を遅らせる
ことは、国民の権利を奪うことになる」と改憲論議に慎重な勢力を批判した。
国民民主党は「現行憲法の足らざる点を補強することが求められている」とし、国民との対話を通じた議論を促した。
一方、立民は政府の新型コロナウイルス対応に触れ、「感染拡大防止のため真に必要な権限は、現行憲法下でも認め
られている。政府が的外れな対策しかできなかったのは、小手先の施策に終始してきたからだ」と主張した。改憲の是非
は明確にしなかった。
共産党は「コロナ危機に乗じた国民投票法の『改正』強行に断固反対する」と強調した。

(5月4日)
新型コロナウイルス下の大型連休で、宮城県内の次期衆院選の立候補予定者が活動に苦慮している。
平常時なら有権者に顔を売る絶好の機会だが、不要不急の外出や移動の自粛が求められ、祭りやイベントの中止が相次ぐ。
予定者たちは車を活用したり、街頭活動を短時間に抑えたりして「新様式」を模索する。
「まん延防止等重点措置」の対象地域となっている仙台市。衆院選では、東北有数の有権者数を擁する宮城1、2区を
抱える。
1区の自民党現職の土井亨氏は党県連の広報車を使用し、車中から政策などをアピール。集会は数人規模でも自粛する。
緊急事態宣言が発令されている東京都と仙台を往来する事情もあり、「感染防止に相当気を使っている」(事務所担当者)
という。
2017年の前回1区で土井氏に敗れ、比例復活した立憲民主党現職の岡本章子氏。党の街宣車に乗りつつスーパーの
そばなどで単独で演説をこなすが、人が集まり過ぎないよう短時間にとどめる。感染対策を徹底した上で「自分から街に
出て行き、地道に活動していきたい」と話す。
2区は前回1316票差の一騎打ちを繰り広げた2人が、再戦に向けて静かに準備を進める。
自民現職の秋葉賢也氏は現時点で小集会やつじ立ちを予定していない。支持者回りをする際には、マスク着用やアルコール
消毒といった対策を講じる。事務所関係者は「重点措置解除後に、具体的な活動も見通せるようになるのではないか」と
展望する。
立民元議員の鎌田さゆり氏はつじ立ちをせず、会員制交流サイト(SNS)の活用に力を入れる。
ライフワークの不登校児童・生徒の支援では親とSNSでやりとりし、必要に応じて対面で相談に乗る。
「人と会って話すことは大事にしたい」と強調する。
比例東北の立候補予定者もコロナ下での活動方法を探る。共産党新人の舩山由美氏はメーデーの1日、JR仙台駅で声を
出さずに労働環境の改善を求める取り組みに参画。公明党新人の庄子賢一氏は、抗原検査の簡易キットを持参しながら、
仙台のほか青森、秋田両県の支持者を巡る予定だ。

(5月5日)
自民党の二階俊博、公明党の石井啓一両幹事長は5日、東京都内で会談し、憲法改正手続きに関する国民投票法改正案に
ついて、立憲民主党から提示された修正案を受け入れる方針を確認した。8国会にわたって継続審議となっていた改正案
は6日の衆院憲法審査会で修正、可決された上で、衆院を通過し、今国会で成立する見通しとなった。
会談には、自民の森山裕国対委員長らも同席。森山氏は会談後、昨年12月に二階氏と立民の福山哲郎幹事長が今国会で
改正案に関する「何らかの結論を得る」と合意していることを踏まえ、「与野党として国民に約束をしており、一定の
結論を出せるようにするということだ」と記者団に述べた。また、森山氏は同日、与党側の考えを立民の安住淳国対委員長
にも伝えた。

(5月6日)
憲法改正の手続きを定める国民投票法改正案について、自民党の二階俊博、立憲民主党の福山哲郎の両幹事長が6日、国会内
で会談し、今国会で成立させることで合意した。立憲がCM規制に関する措置を行うよう求め、自民が受け入れた。改正案は
同日の衆院憲法審査会で賛成多数で可決された。
改正案は、安倍政権下の2018年6月に提出された。一般の選挙ではすでに導入されている、大型商業施設への共通投票所の
設置など7項目が盛り込まれている。立憲などは改憲に向けた環境が進む改正案に慎重姿勢を崩さず、8国会にわたって継続
審議となっていた。
安倍政権が終わり、野党共闘をめざす国民民主党も採決に傾くなか、立憲は4月末、資金力のある団体が有利になることを
防ぐテレビやラジオCMの規制のあり方などについて「施行後3年を目途に必要な法制上の措置その他の措置を講ずる」とする
付則を加えた修正案を与党側に提示。今国会の成立をめざしていた与党側が修正案をそのまま受け入れた。

(5月7日)
立憲民主党など野党は秋までに行われる次期衆院選で共闘し、政権交代を目指す考えだ。ただ、枠組みをめぐる各党の思惑
が交錯し、共闘の具体像は見えていない。共闘に向けた協議は今後、立民が共産との関係をどう位置づけるかが焦点となる。
■党首会談が赤旗1面に
「総選挙にむけた協力のための協議開始で一致」
共産の機関紙「しんぶん赤旗」は4月28日付1面トップでこんな大見出しの記事を掲載し、志位和夫委員長と立民の枝野
幸男代表の前日の党首会談の写真を添えた。
共産は次期衆院選で政権交代し、共産を含む「野党連合政権」の樹立を目指す。このため野党第一党である立民にこの政権
構想への合意を求めてきた。志位氏は6日の記者会見で、集団的自衛権の限定行使を可能にする安全保障関連法の廃止が
政権の「土台」だとし、「それが一致できれば私たちは政権で協力していきたい」と意欲を示した。
立民も、次期衆院選で「自公政権を倒して立民を中心とする新しい政権をつくる」(枝野氏)のが目標。ゆえに共産と
候補者が競合している衆院67選挙区で立民候補への一本化を可能な限り進め、共産支持者の票も取り込みたい考えだ。
共産はそんな立民の思惑を読み取り、共通政策づくりや政権協力での合意を半ば選挙協力の条件として突きつけ、揺さぶり
をかける。会談で志位氏は枝野氏に「共通政策、政権の在り方、選挙協力、3つの分野で協議を行っていきたい」と求めた。
ただ、枝野氏は「政策の一致している部分がどこにあるのか、きちんと話していかねばならない」と述べるにとどめた。
■国民は共産に距離
志位、枝野両氏の党首会談の記事を赤旗が大きく報じた4月28日、国民民主党の玉木雄一郎代表は記者会見で、野党の
政権構想に関し「共産が入る政権であれば、われわれは入れない」と表明した。日米同盟を安全保障政策の基軸とする
国民は、綱領で日米安保条約の廃棄を掲げる共産とは相いれず、国民と立民の支持母体である連合も共産を含む政権を
全否定しているからだ。
玉木氏も4月27日に枝野氏と党首会談し、衆院選挙区候補の原則一本化や、連合と両党が政策協定を結ぶことで一致。
その上で枝野氏に「連立政権となった場合、共産が入っているのかどうか。どこかの段階で明確に示してもらいたい」と
求めていた。
枝野氏は共産が求める政権構想での合意に関し否定も肯定もしていない。衆院選で連合の反発や保守層離れを招かぬよう
共産と一定の距離を取りつつ、候補者調整などで協力を得るため共産とも丁寧に協議を進めるとみられる。
ただ、こうした立民の「二股作戦」で衆院選に突入できるかは不透明だ。玉木氏は4月28日の記者会見で、政権構想と
共産との関係の明示を改めて求め、こう断言した。
「野党第一党である(立民の)枝野代表にそこは示していただかないと、選挙協力も政策の調整もできない」

(5月8日)
立憲民主党の小沢一郎衆院議員(78)が8日、事務所公式ツイッターを更新。菅義偉首相が7日に行った会見を酷評した
菅首相の会見内容を伝えるニュースを引用した小沢氏は「世界でも底辺レベルの記者会見」と厳しくダメ出し。「『結果は
出せてる、でも延長はする、引き続きしっかりやりたい』だけ。具体策が示されず、意気込みだけが一方的に語られ、質問
と回答はかみ合わない」と論評した。
続けて、「だが、再質問は禁止され、記者達は抗議すらしない。何でこんな国になったのか、国民一人ひとりが考えないと
いけない」と訴えた。
このツイートには「早く政権交代を実現しないと」「曖昧な説明で本当に対策ができるのか」など意見が寄せられていた。

(5月9日)
立憲民主党の枝野幸男代表は9日、インターネットでの動画配信で、「(緊急事態宣言が出ても)多くの皆さんに従って
いただけない、効果が出ないという状況になれば、ちゅうちょなく強制的な外出制限の措置を執行することは、当然
やらなければならない」との考えを示した。
枝野氏は「必要があれば、我々が野党の段階でも、かなり強い外出制限について、相談に応じて賛成する余地は十分ある」
と述べた。災害時に市町村長が移動制限などを指示できる災害対策基本法を挙げ、「(同法を使えば)かなり強い外出制限
が可能ではないか」との見方も示した。 一方、「まずは徹底して感染を抑える(ことが大事だ)」とも強調。外出制限の
議論をする前に、営業自粛の店舗などへの十分な補償などを検討するのが先だとの考えも示した。

(5月10日)
立憲民主党の枝野幸男代表は10日の衆院予算委員会を菅義偉首相と次期衆院選前に直接対決する場と位置付け、新型
コロナウイルス対策は失敗だとして追及した。一方、首相にNOを突き付ける最大手段の内閣不信任決議案は、感染拡大を
理由に「現状では出せない」と明言。政権選択選挙を控えた野党第一党の党首としての対決姿勢に中途半端な印象はぬぐえ
ない。
「遅すぎた2度目の緊急事態宣言と、早すぎる(3月の)解除。根拠なき楽観論で対応が遅れて、同じ失敗を繰り返して
きた」
枝野氏は予算委で首相の政治判断をこう批判した。首相が「専門家の意見をいただいた中で私どもが判断している」と答弁
すると、「何でも専門家に責任を転嫁するのは本当におやめになった方がいい」と語り、首相の資質を疑問視した。
次期衆院選では、首相と自身のどちらがコロナ禍のリーダーにふさわしいかを争点にしたい考えで、10日の予算委終了後
には、記者団に「(首相には)リーダーとして危機を乗り切るという覚悟と危機感がなく残念」と述べた。
対立軸を打ち出すためにも、6月16日の国会会期末近くに、コロナ対応など「菅内閣の失政の総括」と位置付けて内閣
不信任案の提出を模索している。
会期末まで感染状況をにらみながら最終判断する考えだが、公の場では対決姿勢を打ち出しきれない。10日、記者団には
こう述べるにとどめた。
「現状は衆院解散できる状況ではない。提出したら解散すると(与党幹部らが)明言しており、提出はできないと思って
いる」
衆院解散か内閣総辞職を求める内閣不信任案を緊急事態宣言発令中に提出すれば「野党は政治空白を生じさせるのか」と批判
を浴びかねない-。慎重な言い回しには、こうした苦しい立場に置かれた枝野氏の思いもにじむ。共産党の小池晃書記局長
は記者会見で枝野氏の発言に同調した。 ただ、政権交代を実現するには衆院選で勝たなければならず、その最大のカードを
自ら否定する発言は異例で、自身を縛ってしまう余計な発言ともいえる。
国民民主党の玉木雄一郎代表は記者団に苦言を呈した。
「提出は常に検討すべきだし、それが不十分なコロナ対策の変更を促すことにもつながっていく。最初から出さないと決め
つける必要はない」
枝野氏は10日の予算委で夏の東京五輪・パラリンピックに関し「国民の生命、暮らしを守ることと、五輪開催を両立させる
ことは、不可能と言ってもいいのではないかと残念ながら言わざるを得ない」とも語った。
立民の泉健太政調会長が7日の衆院議院運営委員会で「残念だが、延期か中止し、ワクチン接種と治療、国民の命と健康を
優先させようと提案したい」と述べていただけに、トーンダウンした感も否めない。立民内や他の野党からは「覚悟を決めて
与党と対決したほうがいい」との意見も出ている。

(5月11日)
立憲民主党の小沢一郎衆院議員が11日、公式ツイッターに新規投稿。
菅義偉首相が10日の参議院予算委員会で、新型コロナウイルス対策や東京五輪開催の可否などについて、野党議員からの
質問をはぐらかすかのように答弁書の朗読を繰り返した姿を受け、「同じ言葉を繰り返す壊れたロボット」と皮肉を込めて
苦言を呈した。
小沢氏は「よく映画には、何を言われても同じ言葉を繰り返す壊れたロボットが出てくる。昨日の委員会での総理は正に
これ」と指摘。その上で、同氏は「五輪を前に、国民を馬鹿にした菅政権の政治姿勢は全世界に報じられている。検査数・
ワクチン接種が世界最下位レベルなら、総理の倫理観や説明能力も世界最下位レベル」と嘆き、「恥を知るべきである」と
訴えた。

(5月12日)
立憲民主党の安住淳国対委員長は12日、日本医師会の中川俊男会長について、まん延防止等重点措置を当時適用中だった東京
都内での自民党参院議員の政治資金パーティーに出席した対応を疑問視した。
「そういう会に出るのはちょっと首をかしげる」と国会内で記者団に述べた。
中川氏が新型コロナウイルスの感染防止対策の徹底を呼び掛けていることを念頭に「自分が守らないと言葉に説得力がなく
なってしまう」とも指摘した。
中川氏は4月20日、自身が後援会会長を務める自民党の自見英子参院議員の政治資金パーティーに出席した。

(5月13日)
立憲民主党は13日、国会議員が選挙買収などの罪で起訴されたり、有罪判決が確定したりした場合に、歳費の返納や支給停止
を可能とする歳費法改正に向けた検討を始めた。
同日設置の検討チームで、月内にも改正案をまとめる。
2019年参院選の大型買収事件で有罪判決が確定し、当選無効となった河井案里氏が歳費を受け取り続けていたことを受け、
与野党で歳費法改正に向けた動きが出ている。

(5月14日)
立憲民主党と共産党は14日、内閣官房参与の高橋洋一嘉悦大教授のツイートを巡り、高橋氏の出席がなければ審議できない
として衆院内閣委員会を途中退席した。

(5月15日)
立憲民主党の枝野幸男代表は15日、宇都宮市で開かれた党栃木県連大会にオンラインで参加し、衆院解散・総選挙の時期に
ついて「早ければ6月解散、7月総選挙の可能性が残っている」と述べた。国会会期末の与野党攻防が解散につながる可能性
を示した上で、野党共闘推進を促す狙いがありそうだ。
新型コロナウイルス感染拡大を「戦後、東日本大震災と並ぶ最大の危機」と指摘し「政府は平時と同じような対応に終始
している」と菅政権を批判。「この状況を変えるのは私たちの役割だ。『中異』を捨ててでも危機を乗り越える政権を
つくりたい」と強調した。

(5月16日)
当選無効となった国会議員がそれまでに受け取った歳費の返還を可能にする、歳費法改正に向けた動きが与野党で急拡大
している。
秋までに行われる次期衆院選を見据え、「政治とカネ」の問題への取り組みをアピールする狙いが背景にある。
今国会中の改正を求める声もあるが課題は少なくなく、実現するかは見通せない。
発端は、2019年参院選に絡み、大型買収事件を起こした河井案里元参院議員が、裁判で有罪判決が確定し、当選無効と
なったことだ。2月3日に議員辞職するまでに歳費など約4900万円を国から受け取った。
立憲民主党の泉健太政調会長は、案里氏の当選無効に伴う参院広島選挙区再選挙中の4月22日に「当選無効となっても
返還の必要がない。国民は納得できない」と述べた。同党は今月13日に検討チームを発足、改正案づくりを急ぐ。
国民民主党は立憲との共同提出に前向きだ。
再選挙で敗北した自民党も、「政治とカネ」に関する有権者の厳しい視線を受けて追随する。
党広島県連会長を務める岸田文雄前政調会長は、執行部に法改正に取り組むよう要請した。
案里氏の夫、河井克行元法相の選挙区だった衆院広島3区に斉藤鉄夫副代表を擁立した公明党も同調。今国会での法改正
を「最も望ましい」(石井啓一幹事長)とする。自公両党幹部は12日、法改正の協議を開始することで一致した。
国に歳費返還を案里氏に請求するよう求める訴訟を起こした広島県住民の山根岩男さんも「今回の訴訟を契機に法改正を」
と訴える。
ただ、改正のハードルは高い。自民党参院幹部は「全て没収できるのか。働いた対価が支払われないのは財産権の侵害に
なる」と指摘する。公明党幹部は公設秘書給与の扱いを課題に挙げる。逮捕時点で支給を停止するのかも論点になりそうだ。
自民党の森山裕国対委員長は記者団に「いつまでにと決めているわけではない」と語る。

(5月17日)
立憲民主党の江田憲司代表代行は17日の記者会見で、国会での憲法改正議論に前向きな姿勢を示した。
立民の前身の旧立民や旧民進党が「安倍晋三政権の間は改憲論議できない」との立場を取っていたことに触れ、「安倍
政権も終わったことだから。われわれの立場、立憲主義の観点から議論を深めていくことは賛成だ」と述べた。
来月成立する見込みの国民投票法改正案では、国民投票運動時のCM規制などの措置を「3年をめど」に行うと定めて
いる。江田氏は、CM規制など投票環境整備に関する議論を優先すべきだと指摘する一方、「それを早くやろう。CM
規制に与党も乗り、合意できれば(3年を待たずに)次の本丸の議論に行く」と語った。
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が15、16両日に実施した合同世論調査では、与野党が国会で
具体的な憲法改正議論を進めるべきかとの問いには「思う」との回答が72・0%を占めた。

(5月18日)
自民党の二階幹事長は18日、立憲民主党の福山幹事長と国会内で会談し、外国人収容のあり方を見直す出入国管理
・難民認定法改正案の今国会成立を断念する方針を伝えた。立民など野党3党は、衆院に提出していた義家弘介衆院
法務委員長(自民党)の解任決議案を取り下げた。
政府が提出した改正案は、国外退去処分となった外国人について、これまで入管施設に収容していた原則を改める
内容だ。

(5月19日)
立憲民主党の荒井聡元国家戦略担当相(74)=衆院北海道3区=は秋までに行われる次期衆院選に出馬せず、政界を
引退する意向を固めた。高齢が理由。関係者が19日、明らかにした。
22日にも札幌市内で開かれる後援会で正式表明する見通し。立憲道連は後継候補者選びに近く着手する。
荒井氏は農林水産省を経て、1993年の衆院選に当時の日本新党から出馬し初当選。現在8期目で、民主党政権では
首相補佐官も務めた。

(5月20日)
立憲民主党の安住淳国対委員長は20日、国会内で自民党の森山裕国対委員長と会談し、同党の細田博之元幹事長
が沖縄県による緊急事態宣言の要請をやゆしたとして抗議した。
会談後、安住氏は記者団に「(細田氏の発言は)自分たちの意に沿わない沖縄の県政運営をやゆしているとしか
思えない」と指摘。「沖縄に対する差別的な意識を持っているから、そういう話になるのではないか」と批判した。
細田氏は、玉城デニー知事も出席した19日の自民党会合で、新型コロナウイルス感染が急増している沖縄県について
「国の政策に頼るなんて沖縄県民らしくない」と発言した。

(5月21日)
新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言の対象に沖縄県が加わることが決まった21日、沖縄県選出
で立憲民主党の屋良朝博氏が、衆院議院運営委員会で質問に立った。
自民党の細田博之・元官房長官の発言を取り上げ、「差別的」と批判した。
19日にあった自民党の沖縄振興調査会の会合で、細田氏は沖縄県の感染者数が増えていることへの危機感を示した上で、
「国の政策に頼るなんて沖縄県民らしくないじゃないか」などと発言した。会合には玉城デニー知事も出席していた。
屋良氏は21日の質疑で、この発言を「聞き捨てならなかった。沖縄県独自に対策をすべきで、国に頼るなと言った」
とし、「感染症対策は国の責任。沖縄のみに対策を求めるような発言は、差別的じゃないかという受け止め方をする人
もたくさんいる」とただした。
これに対し、コロナ対策を担う西村康稔経済再生相は、細田氏の発言には触れず、「国と県が連携をして感染を抑えて
いく。それぞれ立場、持ち場がある」と語るにとどまった。
質疑を終え、屋良氏は取材に「知事が振興策の延長を求める中での発言で、状況的に許せなかった。
来年は(本土)復帰50年の節目を迎える状況で、派閥の領袖(りょうしゅう)の発言は重い」と指摘。
「沖縄県民らしさって何なのか。わからない概念でしっかりしなさい、というのは違う」と語った。

(5月22日)
立憲民主党の蓮舫参院議員が22日、自身のツイッターを更新した。
蓮舫氏は「菅首相、記者会見せず 内閣記者会は開催申し入れ」と題したネット記事をアップした。
記事は、政府が21日、新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言を新たに沖縄県に発令するに当たり、菅義偉首相による
記者会見の開催を見送ったことを伝えた。内閣記者会の幹事社は官邸報道室に、首相の会見を申し入れていたが首相は
会見せず代わりに、記者団から質問を受け付ける「ぶら下がり」取材に官邸で応じた。菅首相は会見しなかった理由を
「新型コロナ対策に関する政府の対応は、これまでも適時適切に対応している。これからも丁寧に発信をしていきたい」
と強調。「(記者の)皆さんからの要望に応え、こうして対応、会見している」と語った。
この記事を受け蓮舫氏は「トップの言葉の重みをどうか自認してください、菅総理」とつづり、「沖縄県に緊急事態宣言
を指定したのは総理です。
記者からの質疑に応じるべく、内閣総理大臣として記者会見をするべきです。なぜ避けるのですか」とツイートしていた。

(5月23日)
立憲民主党の枝野幸男代表は23日、富山市で開かれた党富山県連大会にオンラインで参加し、次期衆院選の投票率次第で
政権交代は可能との認識を示した。無党派層の動向が勝敗の鍵を握るとした上で「投票率が5ポイント上がって、野党に投票
してくれれば政権交代できるというのが今の客観的な状況だ」と述べた。
国民民主党、野党系無所属などを合わせ衆院定数465の過半数となる233人以上の擁立にめどが立ったとして「自民党に
代わる政権をつくる。その選択肢になる最低条件は整えることができた」と強調した。
衆院選小選挙区の投票率は2017年53.68%、14年52.66%だった。

(5月24日)
立憲民主党の枝野幸男代表は24日の党会合で、高橋洋一内閣官房参与が同日付で退職したことを受け、「辞めたから
済む話ではない。とんでもない方に長期にわたりアドバイザーになってもらっていた(菅義偉)首相の見識が問われていく」
と語った。
福山哲郎幹事長は国会内で記者団に「菅首相には任命責任があるし、このような人が参与だからコロナ対策でこれほど国民
の不信を買う状況になっているのではないか」と述べた。
高橋氏は21日付で自身のツイッターに新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言について「欧米から見れば
戒厳令でもなく、屁みたいなもの」と投稿。9日付でもインドや欧米各国と日本の感染状況を比較した上で「日本はこの
程度の『さざ波』。これで五輪中止かというと笑笑」と投稿していた。立民は衆院内閣委員会への高橋氏の出席を求めて
いた。

(5月25日)
7月23日開幕の東京オリンピック(五輪)・パラリンピックについて、東京都議会(定数127)の立憲民主党(議席数7)は、
開催中止や延期を求めていく方針を決めた。新型コロナウイルスの感染が収まらない中、「今の状況が続けば開催は不可能」
と判断した。7月4日投開票の都議選でも、大会の中止や延期を訴えていくという。
24日に開かれた会派幹部や都連所属の国会議員らの会議で決めた。
同会派は今後、国際オリンピック委員会(IOC)や東京都、大会組織委員会などに対し、中止を申し入れていくことも視野
に検討している。
五輪開催の是非をめぐっては、共産党東京都議団が13日、都議選の「重点公約」の一つとして中止を求めていくことを表明
している。
国政の野党第1党である立憲も今夏開催に反対する方針を決めたことで、都議選の争点のひとつとなりそうだ。

(5月26日)
立憲民主党の小西洋之参院議員(49)が26日、ツイッターを投稿し、連日閣僚との昼食時間をとっている菅義偉首相を
「無能だから暇だというほかない」とバッサリと斬った。
小西氏が「あり得ない」と引用したのは、菅首相が連日、閣僚とランチをともにしているとのニュースだ。
18日から首相官邸に閣僚を招き、平沢勝栄復興相、平井卓也デジタル改革担当相、萩生田光一文科相、茂木敏充外相、
上川陽子法相と続き、26日は野上浩太郎農水相だった。菅首相は予定が空いている大臣を指名し、まるで面談のよう
だが、情報交換とともにコミュニケーションを密にする狙いがありそうだ。
小西氏は「コロナの国難にある中に、総理が日中に暇があるとは。無能だから暇だというほかない」と大臣とランチを
過ごす時間があることに驚く。
「私は今国会(約半年間)で座ってランチを食べたのは数回だと思う。ほぼ毎日、昼食は食べる暇がないのでカロリー
メイトなどを常備している。ちなみに今日の昼は議員立法の作業と、コロナ関係の政策の文書作成をしていた」と小西氏
は昼食を取る時間もないほど、多忙の日々を送っていると訴えた。

(5月27日)
立憲民主党は、6月9日に開催される党首討論を「今国会最大の山場」(安住淳国対委員長)と位置づけている。
7月の東京都議選や「秒読み段階」(同)となった次期衆院選を前に、枝野幸男代表が菅義偉(すが・よしひで)首相
と直接論戦し、新型コロナウイルス対応などで政権との違いをアピールできる絶好の機会とみているためだ。
枝野氏は、夏の東京五輪・パラリンピックについて「国民の命を最優先にできなければ延期か、中止せざるを得ない」
としており、五輪の開催の是非も重要な論点に据えるとみられる。
共産党の志位和夫委員長は27日の記者会見で、討論のテーマについて「コロナ、オリンピックは日本の国民の命に
根本的にかかわってくる大問題だ。それが中心になる」と語った。
一方、「党首討論の毎週開催」を持論とする国民民主党の玉木雄一郎代表は、記者会見で「国の歩むべき方向性や、
そこに人間性も含めてどう臨んでいくのかという首相の決意、覚悟を問えるようなものにしたい」と述べた。
日本維新の会は、片山虎之助共同代表が登壇する予定だ。

(5月28日)
立憲民主党の枝野幸男代表は28日夜、オンラインで参加した党会合で、自民党が今国会への提出見送りを決めた
同性愛者など性的少数者(LGBT)への理解増進を図る法案について「少なくても東京五輪・パラリンピックの
主催国として法整備は義務ではないか」と語り、終盤国会の争点になるとの認識を示した。
枝野氏は来月16日までの今国会で、新型コロナウイルス禍での医療・生活支援などを盛り込んだ令和3年度補正
予算案の編成や、コロナ対策を迅速に行うための会期延長なども求めると説明。来月9日には菅義偉政権の発足後
初めての党首討論が行われるとし、「(与野党の)緊迫の度合いはどんどん高まっていくだろう」と述べた。

(5月29日)
5月25日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、新書第1位は『在宅ひとり死のススメ』が獲得した。
第2位は『スマホ脳』。第3位は『どうしても頑張れない人たち ケーキの切れない非行少年たち(2)』となった。
 4位以下で注目は7位に初登場の『枝野ビジョン 支え合う日本』。立憲民主党の枝野幸男代表が政治のあるべき
姿を論じた一冊だ。枝野代表は2014年ごろから執筆をはじめ、激動の政治生活を続けるなかで何度となく加筆修正
を加えながら7年をかけて上梓したという。
また同書の前書きで《政権選択選挙=衆議院総選挙までに世の中に示したいと思ってきた》と綴っており、この秋
までに行われる次期衆院選で政権を掴むという覚悟を示した一冊となっている。
「保守本流」を自認する立憲民主党はどのような社会を目指しているのか。国民に「自助」を強いることなく、
「支え合い、分かち合う」社会とはどのような仕組みなのか。これまでの自民党政治、新型コロナウイルス感染症
への対応、東日本大震災で得た教訓などを交えながら、枝野代表はたっぷりと語っている。衆院選までに一度は読む
べき一冊といえるだろう。

(5月30日)
立憲民主党の荒井聡元国家戦略担当相(75)=衆院北海道3区=が、次期衆院選に立候補せず引退することが30日、
同氏の事務所への取材で分かった。
事務所によると、高齢と世代交代を進めることが理由で、29日に札幌市内であった非公開会合で明らかにした。
荒井氏は農林水産省職員を経て、1993年に日本新党から衆院選に出馬し初当選。現在8期目。旧民主党政権で首相
補佐官などを務めた。

(5月31日)
都議会立憲民主党は31日、都庁で会見し、都議選(6月25日告示、7月4日投開票)に向け、「東京政策
2021」と題した公約を発表。東京五輪・パラリンピックは「延期か中止を」と見直しを迫った。
都連会長の長妻昭衆院議員(60)は「東京五輪が都議選の大きな争点になる可能性が高い。姿勢をハッキリしない
とコロナ対策は打てない。重要なのは医療崩壊、生活崩壊を食い止めないといけない。感染拡大の懸念を払しょく
できない限り、延期か中止かを旗印に戦っていく」と表明した。
五輪問題は今後4年で都政の課題にする政策集と別枠で発表し、「世界から変異株が東京に集まり感染が広がり、
それが世界に拡散することはないのか? 数々の疑問に対して説得力ある説明がない。どうなるかわからないが、
東京五輪は強行する。こんな賭けは許されない」と訴えた。
都議会では共産党都議団も五輪中止を都議選の公約に掲げ、文教委員会では大会中止を求める陳情に対し、両党
だけが賛成していた。
会見の質疑で長妻氏に飛んだのは、都議選で訴えても開催延期や中止の判断には間に合わないのではないかという
ものだ。東京五輪の開幕は7月23日で、都議選は同月4日に投開票される。仮に延期・中止を訴える勢力が都議会
の過半数に達したとしても大会まで2週間余りで「あまりに遅過ぎる」というワケだ。
長妻氏は「時期が時期だし、政府がやると決めているから仕方がないと思っている方も一部いらっしゃるかもしれ
ないが、そうじゃない。明確に意思を示せば、余地はあると思っている。都議選が最後のチャンスだと思っている」
と訴えた。