【2023年】

(3月1日)
岸田首相は1日の参院予算委員会で、かつて民主党政権の「子ども手当」を非難した野党自民党に関し、振る舞いに問題が
あったものの、政策判断への反省は不要だとの認識を示した。自民党の丸川元五輪相の質問に対する答弁。
丸川氏は当時、関連法案の採決時に「愚か者めが」とやじを飛ばした。予算委で首相は、当時の反省に言及した1月31日の
国会答弁を「言動は節度をわきまえなければならないという趣旨で申し上げた。政策判断について、何か反省すべき点が
あるという趣旨で申し上げたものではない」とした。
子ども手当非難への「深刻な反省」を求める立憲民主党に、全面的には応じる意思がないことを印象付けた形だ。

(3月2日)
立憲民主党が安倍晋三元首相の死去に伴う衆院山口4区補欠選挙(4月11日告示、同23日投開票)に、同党元参院議員の
有田芳生氏(71)を擁立する方向で調整していることが分かった。 複数の関係者が2日、明らかにした。
有田氏は2010年参院選の比例代表に当時の民主党から出馬し、初当選。2期務め、22年参院選で落選した。

(3月3日)
立憲民主党は3日の参院予算委員会で、平成26~27年に当時の安倍晋三内閣が一部の民放番組を問題視、放送法に
基づく政治的公平の「解釈変更」を試みたとされる問題に矛先を向けた。経緯を記した総務省の内部文書を入手したと主張
する小西洋之参院議員が、岸田文雄首相や当時の総務相の高市早苗経済安全保障担当相らに攻勢をかけた。「放送法の解釈
が政治的な圧力でつくられることが認められていいのか」 小西氏は3日の質疑でこう首相に見解をただした。
首相は「正確性や正当性が定かでない文書に私から申し上げることはない」と反論したが、小西氏は「岸田政権は自分たち
に都合の悪い文書は官僚を犠牲にし、噓だという」と畳みかけた。国会で論戦を重ねてきた安倍氏が絡む問題であることを
意識し過ぎたのか、首相に対し「安倍総理」と言い間違える場面もあった。論戦の焦点となっているのは文書の正確性だ。
小西氏は総務省職員から受け取ったと主張するが、高市氏は「非常に悪意をもって作られた文書だ」と答弁し、見解は食い
違っている。松本剛明総務相は「文書中の発言内容についてかなりの人が認識と異なっている」と述べており、真偽の判断
は総務省の調査を待つことになる。今国会では閣僚らの不祥事が目立たず、立民の攻め手不足が際立った。防衛力の抜本的
強化、子供・子育て予算の拡充などに関する首相との政策論争も迫力を欠き、衆院予算委は政府・与党ペースのまま令和
5年度予算案が通過した。
立民は文書を反転攻勢の好機と踏んだとみられる。ただ、学校法人「森友学園」を巡る疑惑では、安倍氏が「ない」と主張
している疑惑に対し旧民進党などが明確な根拠を示さず追及を重ねた結果、審議時間を空費した。
「いつか来た道」を進めば、安全保障、少子化といった喫緊の課題を巡る議論が置き去りにされかねない。

(3月4日)
日本維新の会は3日、立憲民主党とのエネルギー政策に関する勉強会を凍結すると発表した。共同で提言の取りまとめを
目指したが、原子力発電所の活用を巡って意見対立が解消しなかった。通常国会での「共闘」は低調で、両党間の隔たり
の大きさが改めて浮き彫りとなっている。
維新の音喜多政調会長は同日、国会内で記者団に「破綻、破談とまでは言わないが、いったん凍結させていただく」と
語った。勉強会は、電気料金の抑制策を検討するため、2月7日に始まった。維新は提言に「原発の早期再稼働」を盛り
込むよう要求したが、立民が拒否。音喜多氏は「立民は安全性が確認できたものは(再稼働を)否定しないと言いながら、
ほぼ全否定」だと苦言を呈し、「原発ゼロ」を訴える党内左派への「忖度(そんたく)」が背景にあると批判した。
両党の共闘は昨年秋の臨時国会に比べて勢いを欠く。臨時国会では開会から3週間で5本の法案を共同提出したが、今国会
は現時点でも、国会に登院しない議員の歳費削減法案など2法案にとどまる。  勉強会は憲法改正と安全保障についても
実施することで合意していたが、いずれも原発以上に隔たりが大きく、開催のめども立っていない。維新内では「基本政策
が異なる立民との連携はそもそも無理があった」との声が強まっている。
ただ、両党は「国会対策連絡会」を隔週で開くなど国会連携の枠組みを設けており、共闘自体は維持する方向だ。
統一地方選を控え、勉強会「凍結」は、立民と距離があることを示すことで保守系の支持層に配慮する狙いがある。
立民側には提言を巡る駆け引きだとの見方もある。泉代表は3日の記者会見で「私から今コメントすることはない」と
述べるにとどめた。

(3月5日)
立憲民主党内で国民民主党との連携強化を求める声がじわりと広がっている。
与党への傾斜を強めていた国民が2023年度予算案に反対し、「野党に踏みとどまった」(立民中堅)ためだ。立民内には
「復縁」を望む声もあるが、離れている間に互いの距離は思いの外広がっているようだ。
「政策を訴えていくとか、連携する可能性は出てきている」。泉健太代表は3日の記者会見でこう述べ、まずは政策面での
国民との連携強化に期待感を示した。もともと立民、国民両党は旧民主党が源流の「兄弟政党」だが、17年にたもとを
分かった。国民の玉木雄一郎代表は与党との対決より政策実現を重視。22年度当初予算と2回の補正予算に賛成するなど
「準与党化」を進め、連立政権入りまで取り沙汰された。しかし、国民は同党支持の産業別労働組合(産別)から「予算案
に賛成では4月の統一地方選を戦えない」との声が上がったことを踏まえ、23年度予算案は反対に回った。
立民からは「もともと同じ党だから一緒にやりたい」(参院幹部)との声や、統一選を念頭に「国民支持の民間産別の協力
を得たい」(中堅)との本音も漏れる。
もっとも、国民の玉木氏は「立憲民主党のために反対したわけではない」と冷ややかだ。「対決より解決」の独自路線堅持
に、立民との連携は「メリットがない」(国民関係者)とみる。感情のもつれもあるようだ。立民の岡田克也幹事長は2月
の党大会で「働く人々を代表する政党は一つで十分ではないか」と合流の必要性を訴えたが、国民の榛葉賀津也幹事長は
2月24日の会見で「『舌は禍の根』ということわざがあるが、ちょっとあんまりだ。『国民民主党はいらない』と取れる」
と反発。国民との協力を望む立民中堅は「言い方が上から目線。逆効果だ」と嘆いた。

(3月6日)
立憲民主党の泉健太代表は6日、元徴用工訴訟問題の解決策に関し「未来世代に向けた韓国側の努力が垣間見える。日本側
も原理原則を守った。韓国との関係は大切にしなければならない」と評価した。

(3月7日)
総務省は7日、安倍政権下で放送法の政治的公平性について首相官邸側と総務省側とのやりとりを記した内部文書とされる
A4計約80枚の資料について、すべて同省の行政文書と認め、公開した。一方、高市早苗経済安全保障担当相は文書にある
総務相時代の発言について、「捏造(ねつぞう)で内容は不正確」と改めて否定した。
松本剛明総務相は7日の閣議後の記者会見で「作成者が確認できなかった場合もあるが、確認できない場合であっても前後
の資料などから、総務省が取得、または作成したと判断できるに至った」と述べ、公文書管理法に基づく行政文書にあたる
と説明した。内容の一部については「正確性が確認できないものがある」として、引き続き精査する方針を示した。
行政文書と認めたことを受け、総務省は7日にホームページで、該当文書を全文公開した。
文書は立憲民主党の小西洋之参院議員が2日に公表した。放送法の政治的公平性をめぐる解釈が追加される過程で、当時の
礒崎陽輔首相補佐官が総務省側に働きかけを行う数カ月にわたるやりとりが記されている。礒崎氏は朝日新聞の取材に
「総務省と意見交換をしたのは事実だが、最終的には権限のある総務大臣が判断したことだ」と話した。

(3月8日)
総務省が公表した行政文書について、高市早苗経済安全保障担当相は8日の参院予算委員会で、自身に関する記述は
「正しい情報ではなく、捏造(ねつぞう)と申し上げている」と述べ、文書に記載のある総務省職員からの状況説明や、
安倍晋三首相(当時)との電話協議も否定した。予算委に先立つ参院本会議では「捏造された行政文書によって大臣や議員
を辞職すべきだとは考えていない」とした。 総務省の公表文書では、高市氏に関する記述が4文書ある。
立憲民主党の小西洋之氏が予算委で「全部捏造でよいか」と尋ねると「結構だ」と答え、「大変迷惑している」とも
述べた。一方、総務省の今川拓郎官房長は「一般論として行政文書の中に捏造があるとは考えにくい」と答弁した。
小西氏は「一つの番組で政治的公平を判断できる解釈は撤回すべきだ」と求めた。松本剛明総務相は「従来の解釈を変更
しているものではない。放送行政は何も変わっていない」と答弁した。

(3月9日)
野党は9日の衆院本会議で採決された日銀正副総裁人事案で賛否が割れた。
正副総裁候補3人のうち、立憲民主党は副総裁の内田真一氏に反対したのに対し、日本維新の会、国民民主党は3人全員に
賛成。共産党は全員に反対した。
立民は黒田東彦総裁が続ける異次元の金融緩和を修正し、「出口戦略」の議論が必要との立場。総裁候補の植田和男氏に
賛成したのは、同氏が現状の金融政策を是認する考えを示しているものの、「学者で合理的な判断ができて、今後の金融
緩和の見直しが期待できる」(中堅)と判断したためだ。
ある幹部は、植田氏の国会での所信聴取を引き合いに「(政策の)修正をにじませた」と指摘。長妻昭政調会長は9日の
記者会見で、「緩和政策をソフトランディング(軟着陸)する時は政治の強い圧力が予想される。それをはねのけてある
べき金融政策をとってもらいたい」と述べ、植田氏への期待を示した。
一方、内田氏は日銀理事を務め「黒田氏の知恵袋」と見る向きもあり、「副総裁にふさわしくない」として反対に回った。
正副総裁3人全員に賛成したのは維新、国民、れいわ新選組。維新の馬場伸幸代表は会見で、植田氏の所信聴取を踏まえ、
「今の金融緩和路線を急激に変更すべきではないということは完全に一致している」などと説明。
全てに反対した共産党の志位和夫委員長は会見で「(金融政策の)転換が必要だが、その姿勢がみられない」と語った。

(3月10日)
立憲民主党の泉代表が、子育て世帯への給付金に関する自らの発言を撤回したことを巡り、党内から批判を浴びている。
泉氏は9日の党会合で、与党が検討中の困窮する子育て世帯に子ども1人あたり5万円を給付する案について、「(子育て
世帯の)分断だ」と主張した。しかし、立民も同様の給付を盛り込んだ法案を、衆院に提出予定であることが判明すると、
泉氏は会合後、「事務方から上がってきたペーパーで一部齟齬(そご)があり、それをそのまま話した」と記者団に釈明
し、自身の発言を撤回した。
党内からは「代表の立場でありながら、自分の党が出す法案も把握していないのか」(ベテラン)とあきれる声が出て
いる。法案は10日、予定通り衆院に提出された。

(3月11日)
東日本大震災から11日で12年を迎え、各党は談話を発表した。要旨は次の通り。
自民党
昨年、福島県内で長期にわたり帰還が困難とされてきた区域で、初めて住民の帰還が実現した。希望する皆さまが早期に
帰還できるよう最大限努力し、復興を前進させる。
立憲民主党
インフラ復旧は進んだが、被災者は今も生活、仕事、学業、コミュニティーの再生などで困難を抱えている。皆さまに寄り
添い、支援を続ける。
公明党
「心の復興」「人間の復興」を具現化すべく、子どもの心のケアや住民の孤立・孤独対策、被災者の個別課題に寄り添い
支援する「災害ケースマネジメント」の普及に取り組む。
日本維新の会
ハード整備にとどまらず、より生活に近いソフト重視の復興支援策を継続、推進する。除染土の処理についても早急に道筋
を付けるべく政府に強く働き掛ける。
国民民主党
「復興と廃炉の両立」に向け、東京電力福島第1原発の廃炉作業などの事故処理や風評被害などの課題を前進させるため、
あらゆる政策手段を投入する。
共産党
岸田政権が原発回帰と大軍拡への復興財源流用という、復興に二つの逆流を持ち込んでいることに強く抗議し、撤回を
求める。
れいわ新選組
原発事故を何としても収束させることは国の責任だ。事故被災者に対する賠償、区域外避難者への財政支援の確立を引き
続き訴える。  社民党 原発事故を経験した日本が再び原子力依存の道へ戻ることなど絶対にあってはならない。
「核と人類は共存できない」との思いを新たにし、被災者・被害者一人ひとりの「人間の復興」を目指す。
政治家女子48党
12年という年月の中で、変化する社会情勢に応じた心身のケアなど、切れ目のない支援の継続が重要だ。より一層復興を
後押しし、声なき声に寄り添い続ける。

(3月12日)
9道府県知事選が23日告示され、4年に1度の統一地方選が幕を開ける。
市長選との「ダブル選」となる大阪は、地域政党「大阪維新の会」と非維新勢力が対決する構図。奈良、徳島は複数の
自民党系候補が争う分裂選挙で混戦模様となっている。北海道は唯一の与野党対決となる見通し。26日告示の6政令市長選
とともに4月9日に投開票される。
大阪は、現職で維新代表の吉村洋文氏に、政治団体「アップデートおおさか」擁立した法学者の谷口真由美氏、共産党が
推薦する元参院議員の辰巳孝太郎氏らが挑む。
非維新候補の一本化はできず、自民は谷口氏を自主支援する。維新が進めるカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致
への賛否が争点となる。
奈良は、自民県連が元総務官僚の平木省氏の推薦を決めたが、一部の県議らが5選を目指す荒井正吾氏(78)の支援に
回る。日本維新の会から出馬する元生駒市長の山下真氏(54)が自民分裂の「漁夫の利」を狙う。徳島は、6選を目指す
現職と自民の元国会議員2人がしのぎを削る。自民県連は現職を推薦した。
北海道は再選を目指す現職を自民、公明両党が推薦。立憲民主党が擁立した元衆院議員を共産、国民民主、社民各党が支援
し野党共闘で臨む。大分は自民推薦の元大分市長と元参院議員による新人同士の一騎打ち。
立民は特定候補への推薦を見送った。神奈川と福井、鳥取、島根の4県は、与野党が相乗りで現職を支援する。
政令市長選が行われるのは札幌、相模原、静岡、浜松、大阪、広島の6市。札幌は、2030年冬季五輪・パラリンピックの
招致の是非が争点で、招致を進める現職と反対を訴える2新人が争う。
大阪は、引退する松井一郎市長の後継候補として維新が擁立した府議と、アップデートが立てた元自民の市議による事実上
の一騎打ちとなる見通しだ。

(3月13日)
高市早苗経済安全保障相は13日の参院予算委員会で、自身が登場する部分を一貫して「捏造(ねつぞう)」と訴える総務
省の行政文書の問題について、苦しまぎれの答弁を連発した。15年2月13日の文書をめぐり、総務省からレク(説明)を
受けた際「そもそもテレビ朝日に公平な番組なんてある?」と述べたとされる部分について、高市氏は「テレビ朝日を
ディスるはずもない。恥ずかしながら私は羽鳥(慎一)アナウンサーの大ファン。朝は羽鳥さんの顔をひと目見て出かける
くらいだ」。羽鳥アナが司会を務める「羽鳥慎一モーニングショー」の視聴習慣を強調して、記載内容を否定しようと
した。しかしこれに先立ち、「そもそもー」発言が登場するレクの有無について、同省幹部は「あった可能性が高いと考え
られる」と明言。一方で内容の正確性には踏み込まなかった。これまで、レクを受けたことはないと否定してきた高市氏は
「何月何日の何時にどのレクがあったか確認の取りようがない」と一転トーンダウンしたが、「紙に書かれた内容は自信を
もって否定する」と主張した。
委員長に簡潔な答弁を再三、求められても「これまでは長くならないよう言いたいことも我慢してきた。ここは言わせて
ください!」と突っぱね、答弁を強行した高市氏。質問した立憲民主党の福山哲郎氏は「当時の大臣が捏造と言う限り、
総務省は正確とは言えない。森友、加計問題と同じだ。安倍総理が『関わっていたら辞める』と言ったことでどれほどの
官僚に迷惑が及んだか。今回もどれだけ官僚が傷つきながら(高市氏を)かばおうとしているか」と、批判した。
「捏造」の主張を変えない高市氏。この日、政府側にかばうような空気はなかった。

(3月14日)
立憲民主党は14日の常任幹事会で、4月23日投開票の衆院山口4区補欠選挙に、元参院議員の有田芳生氏(71)を公認
すると決めた。また、衆院小選挙区を「10増10減」する区割り変更を踏まえ、いずれも現職の金子恵美氏(57)を新福島
1区、小熊慎司氏(54)を新福島3区の支部長に選任した。次期衆院選の公認候補となる。

(3月15日)
安倍晋三元首相の死去に伴う衆院山口4区(下関市、長門市)の補欠選挙(4月11日告示、23日投開票)を巡り、立憲
民主党の元参院議員、有田芳生氏(71)が15日、下関市内で記者会見し立候補すると表明した。
有田氏は「これからの新しい政治を作るため、補選を通じて安倍元首相の政治を与野党を超えてどうしても検証していか
なくてはならない」との思いで出馬を決断したという。選挙戦では、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題やアベノ
ミクス、北朝鮮による拉致問題などを争点にする考えを示した。有田氏は「『黙することなく闘う』をテーマに、仲間と
ともに山口から新しい日本を作りたい」と語った。有田氏はジャーナリストとして旧統一教会問題などを取材。参院議員
を2期務めたが、2022年7月の参院選で落選していた。
4区補選には自民党の元下関市議、吉田真次氏(38)、政治家女子48党幹事長、黒川敦彦氏(44)も出馬する予定。

(3月16日)
立憲民主党は16日、少子化対策案の中間報告をまとめ、公表した。結婚に向けた経済的なハードルを取り除くとして、
非正規労働者を減らすことや、家賃補助制度の創設などを盛り込んだ。具体的な予算規模への言及は避けた一方、財源に
ついては富裕層への課税強化などでまかなう方向性を示した。
中間報告では、これまでの政府の少子化対策は「小粒で的外れ」と批判。未婚者の増加などへの対策が不十分だと指摘
した。そのうえで、非正規労働者を減らすことなどにより、結婚や子育てを後押しする環境をつくるとした。
児童手当の拡充、高校までの教育無償化なども盛り込んだ。
こうした施策に対する財源については、歳出改革とあわせて、金融所得課税の累進性強化などにより税の再分配機能を
高める方針を示した。ただ、具体的な制度設計は煮詰まっていない部分もあり、予算規模とあわせて今後精査し、最終案
をとりまとめるという。
長妻昭政調会長は16日の会見で「未婚の増加を直視することが非常に大切だが、政府・与党の政策ではそれが抜け落ちて
いる」と述べた。

(3月17日)
立憲民主党は17日、党内に「日韓友好議員連盟」を設立すると発表した。超党派の「日韓議員連盟」とは別組織で、立憲
系議員のみが参加する。16日の日韓首脳会談を機に韓国との独自の議員外交を積極展開したい考えだ。
22日に韓国の駐日大使らを招き、設立総会を開く。泉健太代表が17日の記者会見で表明した。
泉氏は会見に先立ち、来日中の韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と東京都内で会談し、議連設立の意向を伝えた。
立憲側同席者によると尹氏は与野党議員との交流を「ぜひやってもらいたい」と応じたという。

(3月18日)
岸田文雄首相が、政権の最重要政策に掲げる子ども・子育て対策や外交のアピールに躍起だ。 17日に子育て支援策を発表
するための記者会見を実施。その前日と翌日にも外国首脳との共同記者会見を行うなど、国民への発信を強化する。
4月の統一地方選や衆参補欠選挙をにらみ、自身が先頭に立って反転攻勢を狙う。
「目指す社会像、少子化対策の基本理念、方向性を話したい」。首相は17日夜の会見で、最低賃金引き上げや男性の育児
休業取得率の大幅増を目指す方針を説いた。
政府関係者によると、この日の会見は数日前に急きょ決まり、関係省庁が準備に追われた。ただ、焦点となっている少子化
対策の財源や児童手当見直しの具体案は語らずじまい。6月の経済財政運営の基本指針「骨太の方針」の取りまとめへ調整
を続ける。
首相会見は、政権運営の節目や重大発表時に行われることが多い。この日は「肩透かし」となった印象が否めないが、それ
でも各種世論調査で内閣支持率下落に歯止めがかかった結果が相次ぐことから、自民党幹部は「首相は自信を持ち始めて
いる」と指摘する。攻めの姿勢で積極的に政権の政策を国民に訴える作戦だ。  外交にも精力的だ。韓国の尹錫悦大統領
と16日に首脳会談を開催。韓国側が元徴用工問題の解決策を発表したことを受け、関係正常化へ踏み出した。18日は来日
するドイツのショルツ首相と会談し、ウクライナ危機や対中国での連携を話し合う。
ドイツは先進7カ国(G7)メンバー。首相が議長となる5月の広島でのG7首脳会議(サミット)へ協力を確認する。視線
の先にあるのは4月の選挙だ。自民党関係者は「首相は補選や知事選を気にしている」と話した。
首相周辺は「外交は首相の得意分野」と強調する。  首相は国会審議では、防衛力強化や原発政策転換などを巡り、野党
の追及をかわす「守りの答弁」が目立つ。その首相が会見や外交で露出を増やすことについて、立憲民主党の泉健太代表は
17日の会見で「焦りがあるのだろう。防衛予算優先のイメージを払拭(ふっしょく)したいとの思惑があると感じて
いる」と当てこすった。

(3月19日)
任期満了に伴う青森県知事選(5月18日告示、6月4日投開票)で、立憲民主党県連は18日、青森市内で常任幹事会を
開き、独自候補の擁立を断念し、自主投票とすることを決めた。党地方議員の多くは立候補を予定する青森市長の小野寺
晃彦(47)、前むつ市長の宮下宗一郎(43)両氏いずれかの支援に回るとみられる。
代表の田名部匡代参院議員は記者会見で「独自候補擁立をぎりぎりまで模索し、支持者の期待に応えたかったが、具体名を
出せる状況にはない。時間をかけて何とかなるものではないと判断した」と強調。「いろいろな思いを尊重するには自主
投票が良いということになった」と述べた。統一地方選を控え、県連が知事選に対するスタンスを明確にする必要性に
迫られていた。「早く決断して、選挙に集中したいという思いに応える必要があった。ここがタイムリミットだった」と
明かした。
旧民主党時代の2011年の知事選に元県議を推薦して以来、独自候補を立てておらず、「期待してくれているみなさんに
おわびしたい」と陳謝した。その上で「統一選などで仲間を増やし、足腰を強くしていくことが大事だ」と語った。
県連内には主戦論を唱え、田名部代表を推す声もあった。升田世喜男代表代行は「県連で戦える可能性があるのは田名部
代表しかいないが、貴重な国会議員だ。中央での活躍の場もあり、擁立には至らない」と説明した。小野寺、宮下両氏が
推薦願を提出していた自民、公明両党の県組織は、3月上旬までに自主投票を決定。立民の対応が決まったことで、政党
対決の色合いは薄まった。自身の対応を問われた田名部代表は「周囲のみなさんと話をしたい。今の段階で言及するつもり
はない」と明言を避けた。

(3月20日)
高市早苗経済安全保障担当相が野党議員に「信用できないならもう質問しないで」と答弁した問題を巡り、参院予算委員会
の末松信介委員長(自民党)は20日の同委で「遺憾で、この場で注意したい」と高市氏を注意した。
高市氏は「重く受け止める」と述べたものの、謝罪しなかったため、野党が抗議。審議が一時中断し、高市氏は発言撤回に
追い込まれたが、謝罪には応じなかった。
末松氏はこの日の質疑に先立ち、高市氏に対し「予算案審査を(国会に)お願いしている政府の立場であることに留意し
真摯に答えるように」などと述べた。高市氏は「答弁を拒否していると受け止められ、国会審議に迷惑をかけることは本意
ではない。真摯な答弁を心がけており、今後もそのように努める」と語った。
これに対し、立憲民主党は「明確な謝罪がない」と抗議。審議は中断し、午後の審議開始が予定より約30分ずれ込んだ。
再開後の質疑で「謝罪や撤回の考えはないのか」と追及する立憲の小西洋之氏に対し、高市氏は「撤回させていただく」と
述べたが、謝罪には応じなかった。
放送法の「政治的公平」を巡る総務省文書に官僚による高市氏へのレク(説明)内容が記載されているが、高市氏は一貫
してレク内容を否定している。15日の参院予算委で「答弁は全く信用できない」などと追及した立憲の杉尾秀哉氏に対し
「答弁が信用できないなら、もう質問をなさらないでください」と答弁。
参院予算委理事会では「政府に対する国会の質問権を否定する発言だ」などとして、高市氏の謝罪や委員長による注意を
求める声が上がっていた。

(3月21日)
岸田首相がウクライナのキーウを訪問することについて、立憲民主党の泉健太代表は21日、記者団に対し、「G7が一致
してウクライナを支援する枠組みの中で、日本からの支援の強化を期待したい」と述べた。
一方、泉代表は、今回のウクライナ訪問の国会への事前報告がなかったことについて、「戦争が行われているウクライナと
いう国への訪問だから、当然情報を秘匿をした中で対応せざるを得ないということは理解をしている」と述べた。その上
で、「帰国後に国会で報告をしていただくことが重要ではないか」と述べ、衆参両院の本会議で帰国するよう求めた。
岸田首相は、訪問先のインドからチャーター機でポーランドに飛び、21日、ウクライナのキーウを訪問して、ゼレン
スキー大統領との初の対面の首脳会談に臨む予定だ。

(3月22日)
岸田文雄首相のウクライナ訪問を巡り、自民党の高木毅国対委員長は22日、立憲民主党の安住淳国対委員長と会談し、
早期に衆参両院の本会議を開き、首相から報告を受けることで合意した。衆院は24日、参院は27日にそれぞれ開く。
23日午後には、首相が出席する参院予算委員会集中審議も開かれる。
与野党には訪問への評価が広がる一方、官邸の情報管理に関する懸念や日本の対ウクライナ支援の脆弱性を指摘する声も
出ている。首相はキーウ訪問について、安全上の理由から海外出張時の慣例である国会の事前承認は得なかった。
野党側は例外的に認める一方、首相に国会への報告と質疑を求めていた。 高木氏は会談後、「国会に了解を取ることは
原則必要だが、今回は特殊な事情もある。事前に了解がないまま行くことはあってしかるべきだ」と記者団に語った。
安住氏は「内々に『国会承認を得ないで行ってください』と了解していた。異議を申し立てることはない」と説明した。
その上で「G7(先進7カ国)の議長国として(ウクライナの)ゼレンスキー大統領にどういうメッセージを伝えたのか。
対露問題にどう臨むのか。考え方をただしていきたい」と述べた。松野博一官房長官は22日の記者会見で、今回の国会
への対応について「秘密保全、安全対策や危機管理に万全を期すべく、慎重にウクライナ側と調整を重ねた結果、急遽準備
が整ったため、やむを得ず事前報告なしに訪問することとなっ た」と説明した。首相が中露首脳会談と同じタイミングで
キーウを訪問したことを巡っては、22日も与野党幹部から評価する声が相次いだ。
自民の森山裕選対委員長は「(中露の)会談も行われる中、G7の議長国として訪ねたことは非常に大きな意味があった」
と指摘した。国民民主党の玉木雄一郎代表も「(日中)どちらのアジアのリーダーが民主主義と法の支配の守護神であるか
を世界にアピールする最大の機会になった」などと強調した。
一方、立民の泉健太代表は東京都内の講演で、「(首相が)まだキーウに着いていない段階で報道が流れてしまうことの
危険性を官邸がどう考えていたのか」と言及し、国会審議で情報管理の在り方をただす考えを示した。
日本維新の会の馬場伸幸代表は党会合で、首相の訪問を「大きく評価すべきではない」とクギを刺した。日本がウクライナ
に兵器を供与できない点や情報管理の問題を挙げ「大きな貢献ができない状況でわざわざ行ったことで、先方にどういう
印象を与えたのか」と述べた。

(3月23日)
衆院憲法審査会は23日、緊急事態条項を創設する憲法改正を巡り議論した。
大規模災害など緊急時の議員任期延長の規定に関し、立憲民主党の中川正春氏は「一定の範囲で権力を集中させ、危機対応
を即応的に行うことが目的であれば、憲法改正は必要ない」と主張した。
自民、公明両党と日本維新の会、国民民主党は、規定が必要との立場。ただ、緊急事態認定の国会議決について、自民党は
「過半数」を求める一方、公明党など3党は「3分の2以上」と訴え、温度差も目立つ。
自民党の新藤義孝氏は「相違点は国会の議決要件、裁判所の関与の2点におおむね絞られてきた」と強調。こうした論点に
ついて、同党の見解を近く明らかにする意向を示した。

(3月24日)
立憲民主党が、憲法改正手続きを定める国民投票法改正をめぐっても孤独な戦いを強いられている。憲法改正の賛否を
訴えるテレビCMやインターネット広告の規制を訴えるものの、自民党や日本維新の会などは民放連による自主規制に原則
委ねるべきだと主張しているためだ。立民案に関しては他党から「表現の自由の重大な制約」などの厳しい声も寄せられて
いる。
衆院憲法審査会は今月16日と23日、立民が改憲論議よりも重視している国民投票法改正について議論した。
立民はこれまで資金力の差によって公平性が確保できなくなるとの観点から、CMや広告の規制を盛り込むべきだと主張。
23日も野党筆頭幹事を務める中川正春元文部科学相が「政府による番組介入はあってはならないことだ。一方で、情報の
公平性を保つためには法律によるCM規制は必要だ」などと訴えた。 ただ、立民の主張は広く共感を集められていない。
23日の憲法審で自民の山下貴司元法相は「国の根本規範である憲法に関する意見表明は国民主権の基礎とも言える重要な
権利だ」と強調。その上で立民案について「公職選挙法に定める選挙運動の規制よりもはるかに厳しい政治的表現の自由の
重大な制約と言える」と懸念を示した。定期的な見直しが必要な国民投票法の改正の有無を憲法改正の前提条件とすべき
ではないとの意見も相次いだ。
現行の国民投票法は付則でCM規制やネット対応について「検討事項」としているが、公明の北側一雄副代表は23日、
「憲法本体の議論や憲法改正発議を妨げるものではないことは(立民も含め)これまで憲法審で確認されている」とクギを
刺した。また、維新幹部は「立民は改憲論議を前に進ませないために国民投票法を使っているのではないか」と語った。

(3月25日)
放送法が定める政治的公平性の解釈に関する総務省の内部文書を巡り、野党は24日の参院予算委員会で政府への追及を
強めた。
立憲民主党は文書を官僚の「捏造」だと断言する高市早苗経済安全保障担当相は閣僚失格だと主張し、岸田文雄首相に罷免
を要求。首相は文書が正確かどうかの精査が先決だとして応じなかった。「引き続き文書の正確性を議論しなければなら
ない。その段階でいきなり更迭うんぬんというのはあまりに論理が飛躍している」。首相は立民の石垣のりこ氏の罷免要求
をこういなした。
政治的公平性に関し、総務省はかつて「番組全体を見て判断する」との解釈だった。高市氏は総務相時代の2015年5月の
国会答弁で「一つの番組でも判断できる」との新解釈を表明。文書には礒崎陽輔首相補佐官(当時)が解釈の「補充」を
同省に働き掛け、安倍晋三首相(同)や高市氏がゴーサインを出した経過が記されている。
石垣氏は「記述は捏造との認識は変わらないか」と高市氏に質問。高市氏は「ありもしないことをあったかのように書いて
いる。だから捏造だと言った」と譲らなかった。
すると石垣氏は「捏造は犯罪だ。(高市氏には)告発義務がある」と指摘。高市氏は「告発するつもりはない」と苦しい
答弁に追われた。石垣氏は次に首相に矛先を向け、「保身のため(捏造だと主張し)部下を売り飛ばす一点を取っても、
もはや高市氏は任に堪えない」と即時更迭を迫った。
総務省文書の問題を国会で取り上げるのは立民と共産党が中心だった。しかし、24日は日本維新の会が参戦。立民、共産
両党とは違う角度から追及した。
維新の音喜多駿政調会長は、放送法の解釈がゆがめられたか否かが最大の焦点にもかかわらず、捏造でなければ閣僚や衆院
議員を辞すると高市氏が表明したことで、論点がずれたと指摘。「辞任する必要があるとは全く思わない。軌道修正しない
か」と「捏造」発言の撤回を促した。だが、高市氏は「文書に書かれているようなことはあり得ない」と応じなかった。
2023年度予算案は28日にも成立する見通し。その後は衆参両院の予算委が開かれる機会は少なくなり、総務省文書問題を
追及する場も限られる。立民からは「政権を追い詰めるのは難しいかもしれない」(幹部)と焦りの声も漏れる。

(3月26日)
立憲民主党宮城県連の安住淳代表は25日、秋の県議選(11月12日任期満了)に関し「複数の選挙区で新人の擁立に
向けて最終調整中だ。積極的に擁立しようと思っている」と述べ、5月の大型連休明けにも公認候補を発表すると明らかに
した。
■「初心に返る」
仙台市内であった県連常任幹事会後、報道陣の取材に答えた。  安住氏は連休明けに県連の選挙対策本部を設置する意向
を示し「まずは仙台市議選(7月21日告示、30日投開票)の態勢を固め、その後の各選挙で全員当選を目指す」と
語った。
立民は県議選でこれまでに現職6人、元議員1人、新人1人の公認と現職1人の推薦を、仙台市議選で現職11人、新人
3人の公認をそれぞれ決めている。衆院小選挙区定数の「10増10減」で、次期衆院選は県内の選挙区が6から5に再編
されることに伴い、自民党は22日、4区支部長に現職の伊藤信太郎氏(69)の就任を決定した。
10期目を目指し、4区で伊藤氏と戦う安住氏は「新しい区割りでは、地元の石巻の有権者が圧倒的に少なく、相当厳しい
選挙になる。初心に返って何とか勝ち抜きたい」と話した。

(3月27日)
岸田文雄首相は27日の参院予算委員会で、放送法をめぐる行政文書の調査結果で、当時の高市早苗総務相(現・経済安全
保障担当相)に関する認識が関係者間で一致していないとの見方を示した。そのうえで「大臣として真摯に説明してもらう
ことが必要だ」と述べ、高市氏に説明責任を果たすよう求めた。
総務省は22日に文書の調査結果をまとめた。2015年2月13日付で記された放送法の政治的公平性をめぐる高市氏へのレク
(説明)について、複数の総務官僚の聞き取りから「行われた可能性が高い」と結論づけた。一方の高市氏は文書を捏造と
断じ、内容が事実だった場合は議員辞職も辞さない考えを示す。野党は辞職を求めているが、高市氏は否定している。
立憲民主党の石橋通宏氏は27日の予算委で首相に対し、調査結果を踏まえ「捏造はなかったと結論づけるのが自然だ」と
重ねて質問。首相は「関係者の認識が一致していない点がある精査結果を総務省が提出した」と繰り返し、高市氏に対応を
委ねる考えを示した。

(3月28日)
立憲民主党の安住淳国対委員長は28日、千葉県市川市での街頭演説で、早期に衆院解散・総選挙が行われる可能性に
触れ、「われわれ野党は受けて立たなければいけない。いいチャンスかもしれない」と述べた。

(3月29日)
国会対応で「共闘」している立憲民主党と日本維新の会は29日、公立小中学校の給食費を無償にするための学校給食法
改正案を衆院に共同提出した。自民党の茂木敏充幹事長も、少子化対策の一つとして無償化の必要性に言及しているため、
両党は与党にも賛同を求める方針。改正案は、2024年度から国が自治体に一定額を支給し、保護者負担をなくす内容。
必要な財源は年4700億円としている。法案提出者の一人、立憲の山井和則衆院議員は記者団に「(無償化に向けた)与党
の本気度を確認したい」と述べた。

(3月30日)
立憲民主党の小西洋之参院議員は30日、国会内で記者会見し、29日に衆院憲法審査会について「毎週開催は憲法のこと
なんか考えないサルがやることだ」と発言したことに関して「不快な思いをした方にはおわびしたい」と謝罪した。
一方で「オフレコ(非公表の談話)の場と認識していた。オフレコでなければ、言わない話」などと撤回については明確
にしなかった。そして「サル発言」は29日のその場で「不適切」として撤回、修正したが「切り取られた」などと主張
した。
小西氏の発言を巡っては衆院憲法審が毎週1回の開催が定例となっていることに関して「何も考えていない人たち、蛮族の
行為だ。野蛮だ」などと指摘しており、この日の衆院憲法審でも謝罪、撤回を求める意見が相次いだ。日本維新の会の馬場
伸幸代表が「民主主義への冒涜(ぼうとく)だ」とするなど、与野党から批判が高まっている。
小西氏は放送法の「政治的公平」を巡る総務省の行政文書について高市早苗経済安全保障担当相の関与を追及。「私に関係
する4枚の文書は不正確。捏造(ねつぞう)だ」などとする高市氏に対し、捏造文書でなかった場合には議員辞職を迫った
が、今度は自らの発言が追及を受けることになった。

(3月31日)
立憲民主党の泉健太代表は31日の記者会見で、衆院憲法審査会のあり方をめぐり「毎週開催はサルがやること」などと
発言した同党の小西洋之参院議員について、参院憲法審の野党筆頭幹事から解任すると明らかにした。
泉氏は「事実上の更迭だ」と述べて陳謝した。小西氏は自身のサル発言などを報じた報道機関に対し、政治的圧力と受け
取れる言動を繰り返しており、泉氏は「対応を考えていく」との考えも示した。
泉氏は会見で「サルといった発言はまかりならん。自制心をなくして、他者を攻撃するばかりになってはいけない」と指摘
し、小西氏を厳重注意したことも明らかにした。「党として謝罪する。発言は党の見解と異なり看過できない」とも強調
した。ただ、他党からは31日も小西氏に対して厳しい声が相次いだ。自民党の世耕弘成参院幹事長は会見で「サルとの
表現は論外だ」と非難した。公明党の山口那津男代表は、小西氏の発言について「真意が全く理解できない。極めて不適切
だ」と指摘。同時に「発言を撤回し、謝罪したとはいえ、やはり心根を改めてほしい」とも語った。統一地方選の応援演説
のために訪れた埼玉県上尾市内で記者団の取材に答えた。
また、共産党の田村智子政策委員長は会見で、小西氏が用いた「サル」などといった表現について「そういう言葉自体を
使うのが適切ではない」と述べた。一方、小西氏が問題視されているのはサル発言だけではない。 小西氏はサル発言を
行った3月29日以降、その内容を報じた特定テレビ局を名指しして「政治圧力以前に局内に元々そうした歪んだ人材が
いることが深刻だ」「元(総務省)放送政策課課長補佐に喧嘩(けんか)を売るとはいい度胸だと思うが」などと自身の
ツイッターに連続で投稿。
同じく発言に関する記事をネット上に掲載した産経新聞についても「今後一切の取材を拒否します」とツイートした。立民
はこの通常国会で小西氏を中心に、放送法が定める「政治的公平」の解釈をめぐる問題で、安倍晋三政権下の「メディア
への圧力」を強調して政府を追及してきた。それだけに立民関係者からは「もう放送法での追及は無理だ」との声も出て
いる。