

【2023年】
(6月1日)
難民認定の申請中でも外国人の送還を可能にする入管難民法改正案をめぐり、立憲民主党は1日、審議が不十分などと
して、杉久武・法務委員長(公明党)の解任決議案を参院に提出した。
この日、与党から提案があった法務委での採決は見送られ、法案の成立は来週以降にずれ込む見通しだ。
通常国会の会期末まで3週間となり、与党はすでに衆院の審議時間を上回ったとして、1日の委員会での採決を提案した。
これに対し、立憲などは、審議で難民審査をめぐる新たな問題も発覚したとして反発。
立憲の斎藤嘉隆・参院国会対策委員長は「まだ十分に審議する時間はある。(法案の)中身なんかどうでもいいという許し
がたい判断だ」と記者団に述べた。
与党は2日の参院本会議で解任決議案を否決する方針。21日の会期末を見据えて政権を追及する姿勢を強める立憲は、その
後も国会戦術で抵抗を続ける可能性がある。
(6月2日)
難民認定の申請中でも外国人の送還を可能にする入管難民法改正案をめぐり、立憲民主党が提出した杉久武・法務委員長
(公明党)の解任決議案が2日、参院本会議で自民、公明、日本維新の会などの反対多数で否決された。
与党側は6日の委員会で法案を可決し、7日の本会議で成立させる構えだ。今後は、立憲などが法相問責決議案などを提出
して抵抗するかが焦点となる。
与党側は1日、委員会採決を提案したが、立憲は審議の過程で、難民審査をめぐる新たな問題が発覚したなどとして質疑
終了に反対。委員長の解任決議案を提出していた。法務委の理事を務める立憲の牧山弘恵氏は2日の本会議で、「質疑の
終了は時期尚早であり害が大きい」と述べた。
解任決議案否決後の法務委理事懇談会で、与党側は改めて6日に委員会を開いて採決することを提案。立憲と共産が反対
したが、杉委員長が職権で採決を決めた。
(6月3日)
野党が次期衆院選の候補者擁立作業を活発化させている。日本維新の会は、人材発掘の勉強会をスタートさせ、立憲民主党
も活動費の貸付制度創設などで環境整備に注力。早期の衆院解散の観測もちらつく中、擁立目標に向けた各党の急ピッチの
選考が進んでいる。
維新は1日、衆院選立候補を目指す人らを対象とした「維新政治塾」を開講し約550人が参加。うち東京会場には約180人
が集まり、塾長の音喜多駿政調会長が「総選挙はいつ行われてもおかしくない。自民党に対抗できる唯一の政党と自負して
おり、皆さんと党勢を拡大し政権交代を目指す」とハッパをかけた。
野党第1党の座を狙う維新は、2021年衆院選の3倍となる全289小選挙区での擁立を目標に掲げる。公認決定は現職を含む
75人にとどまり、幹部は「15人を面接する日もある。6月末には150人まで伸ばす」と鼻息を荒くする。
一方、維新との国会内での政策連携を近く解消し、選挙区調整も事実上断念した立民は、150選挙区以上としてきた擁立
目標を「200選挙区以上」に上方修正した。現時点の公認決定は約140人。未決定の選挙区で女性や20~40代の候補者
探しを進めている。
国政選挙に初挑戦する女性や若者に活動費100万円を貸し付ける制度を新設し、政治家志望の若者向けイベントも計画。
泉健太代表は「激しい時代に対応する若者や女性に選ばれる党でありたい」と意気込む。
前回衆院選で共闘した立民から次回選挙は協力しないと否定された共産党は、「候補を大幅に増やして比例代表で躍進し、
小選挙区に風穴をあける」(志位和夫委員長)と、積極擁立にかじを切った。国民民主党も6月から政治塾を開く。
ただ、各党が擁立に躍起になるだけ野党勢力の候補一本化は遠のく。各党ばらばらで「自民1強」に対峙(たいじ)する
構図が既に見え隠れしている。
(6月4日)
立憲民主党の蓮舫参院議員は4日放送のBSテレ東番組で、次期衆院選の獲得議席が150未満なら辞任するとした泉健太代表
の発言に注文を付けた。「覚悟の一つだと思うが、そのために何をするかの発信がまだ不十分だ。党所属議員や支援者に
向けて早くそれを出すべきだ」と述べた。
公認3候補が全敗した4月の衆参補欠選挙では、勝利に肉薄し党の可能性を示したと指摘。一方「対自民で頑張ろうという
時だが、泉氏の発信力や発言力、リーダー力は残念ながら十分ではない」と苦言を呈した。
(6月5日)
ジャニーズ事務所の創業者、ジャニー喜多川氏(2019年に死去)による所属タレントへの性加害疑惑をめぐり、性被害を
受けたと告白した元ジャニーズJr.の3人が5日、各政党に児童虐待防止法の改正を求める署名を提出した。
署名は3万9326筆にのぼり、「未来の子どもたちを守る環境をつくるために、今国会で成立させてほしい」と訴えた。
現行の児童虐待防止法は、虐待を保護者からの行為と規定している。立憲民主党は当初、虐待の加害者を保護者に限る規定
を見直すことを盛り込んだ改正案を超党派による議員立法で提出することをめざしていた。しかし与党が拒否したため、
5月末に単独で改正案を衆院に提出した。
署名は5月26日から開始。5日は、被害を告白した元Jr.のカウアン・オカモトさん(27)、橋田康さん(37)、二本樹
顕理さん(39)が各党を回って署名を提出し、「法改正がなされれば、ジャニーズ事務所やエンターテインメント業界に
限らず、幅広い場の未来の子供たちが守られる環境がつくられると考えている」などと訴えた。
(6月6日)
立憲民主党の岡田克也幹事長は6日の記者会見で、早期の衆院解散論をけん制した。政府が「次元の異なる少子化対策」
素案で、財源確保策の提示を年末に先送りしたことを問題視。数年後に大増税が相次ぐ可能性を指摘し「良い話だけして
負担の話題を隠すのは姑息でひきょうだ。近く解散すれば『増税隠し解散』と言われても仕方がない」と述べた。
早期解散を「国民への背信だ」と批判。「そうした手法を国民が認めるとは思わない。解散が嫌だから言っているのでは
なく、衆院選をやるというなら受けて立つ」とも語った。
(6月7日)
立憲民主党の安住淳国会対策委員長は7日、「野党が内閣不信任決議案を出すことと衆院解散は関係ない」と述べ、早期
衆院解散をけん制した。与党内には、野党が内閣不信任決議案を提出した場合、岸田首相が衆院解散に踏み切る口実になる
との見方が浮上している。安住氏は「任期半ばにも行っておらず、どういう大義で解散するのか見ないといけない」とも
語った。
一方、日本維新の会の藤田幹事長は同日の記者会見で、早期の衆院解散について、「あった方がいい。戦闘モードに入って
いる」と語った。
(6月8日)
立憲民主党の泉代表は8日の党会合で、日本維新の会の馬場代表が「立民をまずたたきつぶす」と発言したことについて、
「大変驚き、あきれる。本当に品のない、下劣な発言だ」と反発した。次期衆院選で野党第1党を目指す維新を「自民党の
御用野党、仲良し政党だ」と指摘し、「自民にとって最も便利な野党が誕生する」とも皮肉った。
(6月9日)
立憲民主党の松原仁元拉致問題担当相(66)は9日、離党届を提出し、記者会見で次期衆院選は小選挙区定数「10増
10減」に伴って新設された東京26区(目黒区、大田区北西部)から無所属で出馬することを表明した。
松原氏は「40年近く、政治活動を続け、(自身の)住居も構えている大田区を含む東京26区を選挙区として選ぶ」と立民
の都連幹部と公認交渉を続けたが認められず、結論が出ない状況だった。
平行線の状況に松原氏は「解散総選挙がいつ行われるか分からない。いつまでも党の公認を待っていても全然、見通しが
ない」と離党を決断した。
松原氏は東京都議(2期)を経て、2000年衆院選で初当選し、野田内閣で拉致問題担当相を務め、憲法改正派としても
知られるベテラン。松原氏の離党を巡っては改憲や安保政策などで立場の近い日本維新の会と連携する可能性も浮上して
いる。
(6月10日)
立憲民主党の中川正春衆院議員(73)=比例東海、9期=は9日、県庁で記者会見し、次期衆院選に立候補しないと表明
した。立民は中川氏が地盤とする三重2区で後継候補を擁立する方針。
中川氏は会見で、次期衆院選に出馬しない理由について「70歳を過ぎ、人生の節目ということもある。国会で追い続けて
きた課題への対応に一区切りがついた」などと述べた。制定に取り組んできた日本語教育の充実に関する法律が今国会で
成立したことなどを受け、不出馬を決めたという。
この時期に表明した理由は「衆院が解散した際に準備ができていなければ対応できない」と説明。「いつ衆院解散があるか
分からない。早めに候補者を選定したい」と語った。
長年立候補してきた三重2区に関し「政権交代に向け、党が力を付けるという課題が残っている。私と同じ思いで挑戦して
いただける方で戦いたい」と強調した。
立民県連は、候補者が決まっていない衆院三重1、2、4区の候補者を公募している。党本部への応募者も含めて選定する
方針。今のところ4人が応募しているという。
中川氏は松阪市出身。県議(3期12年)を経て、平成8年の衆院選三重2区に新進党から出馬し初当選。
民主党政権で文科相や防災担当相を歴任した。令和三年の前回衆院選は三重2区で自民党新人に敗れ、比例東海ブロックで
復活当選した。
現在、衆院憲法審査会で与党側と討議日程の調整などに当たる野党筆頭幹事や党憲法調査会長を務めている。
(6月11日)
立憲民主党の岡田克也幹事長は11日、NHK「日曜討論」で、岸田文雄首相の衆院解散の判断をめぐり「全衆院議員の首を
切る話。それなりの大義があって解散されるべき」と指摘した上で「解散するなら受けて立ちますということは申し上げ
たい」と述べた。「(選挙をすれば)600億円の大きな税金が失われる。究極の無駄遣いともいえると思う」と述べ「そこ
をしっかり踏まえた上、解散するならしてください。受けて立ちます」「解散がなされればしっかり戦う」と語った。
内閣不信任案を提出するかどうかについては、泉健太代表が決めるとして、言及しなかった。
一方で「この国会で(解散が)なくても、秋口にはあると思う。いつあってもいいようにしっかり準備していきたい」と
話した。
(6月12日)
国会開会中に衆参両院議長や常任・特別委員長らに支払われる1日6千円の手当について、自民党と立憲民主党は12日、
今国会で廃止とすることで合意した。日本維新の会も国会改革の一環として廃止を主張しており、その他の党の賛同も
得られれば今国会中に歳費法を改正することで実現する見通しだが、国会最終盤の情勢によっては実現しない可能性も
ある。
自民の高木毅国会対策委員長と立憲民主党の安住淳国対委員長がこの日、国会内で会談し、合意した。高木氏は「国民に
負担をかけることもある。我々もできるだけの改革をすべきだ」と語った。委員長手当の廃止をめぐっては、2012年に
旧民主党などが同様の法案を提出し、衆院を通過した。ただ、参院民主党が審議を拒否し、廃案となっていた。
(6月13日)
立憲民主党の泉健太代表は13日の常任幹事会で、衆院解散・総選挙の時期は近いとの認識を示し、公認候補擁立と態勢
整備を急ぐ考えを強調した。政府が防衛費増額に伴う増税の実施時期を先送りする検討に入ったことに触れ「いよいよ次期
衆院選が近づいている。岸田文雄首相が選挙後に負担増を打ち出すのは十分あり得る」と述べた。
岡田克也幹事長も終了後の記者会見で「政治のありようとして非常に無責任だ」と批判。一方、提出を検討する内閣不信任
決議案の対応は「最終的には泉代表が決める。ノーコメントだ」と述べるにとどめた。防衛費増額の財源を確保する特別
措置法案の参院審議では、自民党が15日の採決を目指す。
立民の斎藤嘉隆参院国対委員長は記者団に「法案の中身がそもそも合意できる内容ではない」と強調、参院財政金融委員長
の解任決議案提出の可能性に言及した。
泉氏は比例代表を含め150議席を獲得できなければ代表を辞任すると公言している。
岡田氏は、来週にも公認予定者が150人に達するとの見通しを示した。
(6月14日)
立憲民主党の安住淳国対委員長は14日、衆院解散を巡り情勢を見極めるとした岸田文雄首相の発言について「首相自ら
解散風を吹かせていると見られても仕方がない」と批判した。防衛費増額の財源確保特別措置法案など終盤国会対応を巡り
「参院の考え方も尊重しながら、野党で足並みをそろえたい」と語った。国会内で記者団に述べた。
内閣不信任決議案を提出するかどうかや、提出の時期には触れなかった。共産党の穀田恵二国対委員長も記者会見で「脅し
たり、すかしたりしようとしているのか知らないが、解散権をもてあそんではならない」と非難した。
(6月15日)
立憲民主党は15日、岸田内閣に対する不信任決議案を16日の参院本会議終了後に衆院へ提出する方針を固めた。複数の党
関係者が明らかにした。15日は、後半国会最大の「対決法案」と位置付ける防衛費増額の財源確保法(財確法)案の参院
委員会採決を容認。個別法案の成立に抵抗する形ではなく、政権への対決姿勢を明確に示す狙いがある。
21日の通常国会会期末を前に、16日の参院本会議で財確法案やLGBT理解増進法案などの重要法案が成立する見通し。
立憲は防衛費や少子化対策の大幅増額をめぐる財源問題、トラブルが相次ぐマイナンバーカード問題など、政権運営全般の
責任を問う考えで、党幹部の一人は「オーソドックスなことを堂々とやる」と語った。
立憲の泉健太代表ら幹部が15日、国会内で対応を協議。党関係者によると、党内には週明けに提出するべきだとの意見も
あるため、16日に反対する法案が成立した後、泉氏が提出時期を最終判断することになったという。
泉氏は協議後、記者団に「明日、重要法案が採決される状況まで見て判断する」と述べた。
(6月16日)
立憲民主党は16日、岸田文雄内閣に対する内閣不信任決議案を提出して対決姿勢を打ち出した。ただ、岸田首相がすでに
今国会中の衆院解散見送りを表明した後とあって、解散誘発のリスクを負わずに安全地帯からたんかを切る形となり、迫力
は欠いた。
「首相の発言が、含み笑いが、周囲を挑発し、自民党を混乱させ、大きな解散騒動となった。自らの権限と影響力を理解
していないと言わざるを得ない」 16日の衆院本会議で不信任案の趣旨弁明に立った立民の泉健太代表はそう切り出し、
解散をめぐる首相の言動を批判。防衛財源確保に向けて政府が計画する増税などを次々にやり玉にあげて「速やかに退陣
すべきだ」と語気鋭く迫った。不信任案は立民が単独提出した。日本維新の会と国民民主党は採決で反対し、「増税反対」
では一致していた足並みは乱れた。共産党は賛成したが、志位和夫委員長は記者会見で「共同提案の呼びかけがあったわけ
ではない」と明かした。
国会論戦が事実上のフィナーレとなり、今後は各党とも次期衆院選の準備が本格化する。泉氏は共産と距離を置きたい考え
で、5月には候補者調整も「やらない」と明言した。このため共産も競合を辞さずに擁立を進めており、協議の見通しは
立っていない。
そんな立民内の焦りも16日、表面化した。小沢一郎衆院議員ら有志議員が記者会見し、野党候補の一本化に向け、泉氏ら
に方針変更を求めていく考えを表明。小川淳也前政調会長は「泉氏の発言で党内に違和感や危機感が広がり、1つのうねり
になった」と語り、所属衆院議員50人以上から賛同を得たと明かした。
一方、ライバルの維新は他党との選挙協力は行わず、独自候補の擁立を急ぐ。馬場伸幸代表は16日の記者会見で、立民内
の動きについて「『立憲共産党』が、与党を脅かすレベルまでもう一度、盛り上がるとは思えない」と論評した。
(6月17日)
岸田内閣に対する不信任決議案提出を巡り、立憲民主党内で泉健太代表ら執行部への不満が広がった。
岸田文雄首相が今国会中の衆院解散に踏み切らないと明言するまで煮え切らない態度に終始したためだ。求心力は一段と
低下しており、反執行部的な動きも始まった。
「今回の解散騒動は何だったのか。首相は自らの権限と影響力を理解していない」。泉氏は16日の衆院本会議で、不信任
案の趣旨弁明のため登壇。首相が13日の記者会見で「会期末の情勢を見極めたい」と会期内解散に含みを持たせた2日後、
一転して解散見送りを表明したことを批判した。
今月に入って以降、立民の判断は揺れた。衆院選の準備が遅れる中、不信任案を出せば衆院解散を誘発しかねないと危惧
したからだ。 自民党幹部は不信任案提出について「解散の大義」になるとけん制。13日の首相会見が追い打ちとなり、
泉氏は「最後まで検討する」などと判断を保留し続けた。
これに対し、主戦論を唱えるベテラン議員は「出さなかったら表で暴れる」と警告。消極派の中堅は「解散の口実を与える
べきではない」と主張し、双方から執行部批判が高まった。
結果的に不信任案を衆院に提出したのは、終盤国会で最大の焦点となった防衛費増額の財源確保法が参院本会議で成立した
直後の16日正午前。立民内には「消化試合だ」と冷ややかな声が漏れた。しかも、提出は立民の単独。共産党と社民党は
賛成したが、日本維新の会と国民民主党は反対し、野党陣営の分断を改めて印象付けた。
16日は、共産党などとの選挙協力に否定的な執行部に方針転換を求める動きも表面化した。党内に一定の影響力を持つ
小沢一郎衆院議員らが会見し、「野党候補の一本化で政権交代を実現する有志の会」を設立したと発表。立民所属の衆院
議員96人のうち50人超が参加の意思を示したと明らかにした。
小沢氏は「野党間の協力が大事だと思っている人は大多数だ」と強調。小川淳也前政調会長は、会の主張に泉氏らが応じ
ない場合は交代を求めるのかとの質問に「直ちに(執行部に対する)倒閣運動とは思っていない」と含みを残した。
「これからは党内政局になる」。ある党関係者はこう指摘した。
(6月18日)
首相や閣僚の国会答弁を作成する省庁の官僚の負担軽減に向けた衆院議院運営委員会の議論が停滞している。与党は4月に
政府への質問内容の速やかな通告に努めようと与野党間の申し合わせを提案したが、進展はない。
官僚の長時間労働は、通告遅れだけではなく、人手不足にも起因するなど論点が広がっているためだ。21日に閉会予定の
今国会中の合意は見通せない。「議会も要因になっている。基本的な部分は合意してもいいのではないか」 衆院議運委の
山口俊一委員長(自民党)は8日、記者団にこう述べ、質問通告の遅れが官僚の長時間労働の一因になっているとして、
議運委での議論を急ぐべきだとの考えを示した。官僚の超過勤務を巡り、人事院は3月末、各省庁に尋ねたアンケート結果
を公表。質問通告に関する超過勤務の要因について尋ねたところ、「質問通告が遅い」「通告内容が不明確(趣旨が不明な
1行要旨など)」といった意見が上位を占めた。
これを受け、与党は4月18日、議運委理事会で「速やかな質問通告」「質問内容の明確化」に努めるなどの申し合わせを
提案する。過去に議運委で質問通告に関する申し合わせを行った例はない。各党の国対委員長間では平成11年に自民、
民主(当時)、公明、共産、社民などが質疑2日前の正午までに質問通告を行うことを申し合わせ、26年には自民、
民主、日本維新の会、公明各党などが「速やかな通告」に努めることを確認した。 ただ、内閣人事局の調査によれば、
昨年秋の臨時国会で、質疑前日の午後6時以降に通告されたケースは全体の6%に上った。中には前日午後11時12分の
通告もあるなど、与野党が確認した「速やかな通告」が順守されている状況とはいえない。
与党は衆院の正式機関である議運委で通告のルール化に取り組み、各党に徹底を求めたい考えだ。一方、衆院議運委理事会
の議論では、国会対応に当たる官僚の長時間勤務の改善に関し、一部野党から答弁作成の際に関連省庁の決済が必要になる
といった慣行の見直しや、国会業務に対応する官僚の増員を求める意見も出ている。
通告遅れの改善を図ろうとする与党側と、質問通告の遅れ以外にも原因があると訴える野党側で議論が膠着している状況
だ。 立憲民主党の中堅幹部は「国会対応が一方的に残業の要因だとされるのはおかしい」と語る。
別の中堅議員は「委員会の開催が翌日などと突然決まれば、質問通告は遅れざるを得ない」と述べ、委員会の日程が流動的
に決まる国会の運営も疑問視した。通告は野党側が遅れる傾向にあるとされ、野党側には官僚の超過勤務を巡り責任を回避
したい思惑も透ける。とはいえ、官僚の働き方改革は喫緊の課題だ。与党幹部は「できることから一歩ずつ進めたい」と
話している。
(6月19日)
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が17、18両日に実施した合同世論調査で、自公連立政権を今後も
続けるべきかを尋ねたところ、自民党支持層では47・1%が「続けるべきだ」と回答した一方で、「解消すべきだ」が
39・9%に上った。
公明党支持層では70・0%が「続けるべきだ」と回答、「解消すべきだ」は17・0%にとどまり、同じ与党の支持層
でも対照的な結果となった。次期衆院選の候補者調整を巡る自公の不協和音が、自民支持層に波及した可能性がある。
他の支持政党別では、立憲民主党支持層で維持派が16・7%、解消派が66・7%、日本維新の会支持層で16・1%
と70・9%、支持政党がない無党派層で21・0%と59・0%だった。
自公の連立政権は平成11年の小渕恵三政権で発足し、衆院選の選挙区候補を相互推薦するなど選挙協力を強めてきた。
だが、今年に入って、衆院選挙区「10増10減」に伴う候補者調整や、LGBTなど性的少数者への理解増進法などで
自民が公明の要求をのむケースが目立ち、自民内で反発が強まっている。
10増10減を巡る候補者調整では、公明が先んじて東京29区と広島3区に加え、埼玉14区と愛知16区の公認候補を
発表。東京28区でも候補擁立を求めたが、自民が拒否すると、公明は擁立断念と東京での選挙協力解消を突き付けた。
最終的に自民が埼玉14区と愛知16区で独自候補擁立の見送りを決定し、公明に譲歩する形となった。こうした事態に
自民幹部は「自民内は公明への不満だらけだ」と打ち明ける。
自公に隔たりがあるLGBTの理解増進法を巡っても、反発が根強い自民に対し、公明は今国会での成立を求めた。自民内
で議論がまとまらない中、公明の山口那津男代表は「自民が後ろ向きで恥ずかしい」と批判的な言葉で挑発するなど強硬
姿勢を貫いた。 理解増進法に関し、公明内に「成立することが大事だ」(幹部)との声があったように、公明にとっては
連立与党にいることで、党が掲げる政策や主張を実現できるメリットがある。世論調査の結果もその妙味がにじむ形と
なった。
(6月20日)
マイナンバーカードをめぐるトラブルが依然として続いているとして、立憲民主党の安住淳国会対策委員長は20日の党
会合で、21日の通常国会閉会後も、衆院予算委員会などでの閉会中審査の開催を求める考えを示した。政府・与党側に
岸田文雄首相の出席を要求するという。
この日は、障害者手帳の情報が他人のマイナンバーにひもづけられるトラブルが、静岡県で数十件確認されたことが発覚。
安住氏は党所属議員に各地の実態を調査するよう呼びかけた。また、マイナカードを健康保険証としても使う「マイナ
保険証」については、「国民は大変不安に思っている。『紙を残せ』というのが国民の偽らざる気持ちではないか」と
述べ、現行の保険証の存続を求めていくとした。
(6月21日)
立憲民主党が秋にも想定される次期衆院選を巡り、大揺れとなっている。会期末を迎えた21日、泉健太代表は両院議員
総会後の会見で苦しい現状を露呈した。重鎮の小沢一郎氏や小川淳也前政調会長ら11人の衆院議員が16日に発起人として
「野党候補の一本化で政権交代を実現する有志の会」を設立し、野党共闘を訴えて党内に波紋が広がった。
泉氏は「どの政党を対象にするのか、必ずしも有志の会の中でも明確にはなっていないと聞いている」としたが、有志の会
は60人近い議員の賛同を集めているとされる。この日は小沢氏が会長を務める政策グループ「一清会(いっせいかい)」
を発足させ、衆参合わせて約15人議員が参加する予定だ。
小沢氏は両院議員総会を欠席し、党内には「泉降ろし」ともみられる動きが活発化している。野党候補の一本化について
日本維新の会の馬場伸幸代表は「わが党は応えることはできません」と改めて完全否定し、国民民主党の玉木雄一郎代表も
立民との選挙協力には否定的。選択肢として残る共産党は前回2021年の衆院選で候補者調整を行い、「立憲共産党」と
やゆされ、改選前109議席から96議席と敗れて枝野幸男前代表が引責辞任したトラウマが根強い。
馬場氏は「(有志の会は)立憲共産党に帰りたい、という方々の集まりではないかな」と冷ややかで、泉氏に「党内の
ガバナンスを効かせて一致団結して衆院議員選挙に向かっていく。一刻も早く体制作りを整えていただきたい」と同情的な
エールを送った。 野党分裂は16日に立民が提出した岸田政権に対する内閣不信任決議案でも明らかだった。共産は賛成
したが維新と国民は反対し、反対多数で否決された。
泉氏は「そろう時もあれば、乱れる時もある。これが今の野党の現状。仕方のない話」などと結論付けたが維新、国民との
溝は広がる。
泉氏は共産党との選挙協力の可能性について「政治っていうのは、常に簡単じゃないということ」と言及を避け、記者団
から「それでは分からない」と詰め寄られると「だから分からないことなんですよ、政治っていうのは。そんな簡単に
白黒、毎度毎度つくものじゃない」と不機嫌モードで今後については「さまざまあり得る」と語気を荒らげた。野党第1党
の不協和音は収まりそうもない。
(6月22日)
国民民主党の前原誠司代表代行は22日、国会内で記者会見し、立憲民主党、日本維新の会、国民民主3党の国会議員団が
7月2~4日の日程で台湾を訪問すると発表した。団長は前原氏が務める。蔡英文総統との会談も予定している。
前原氏は「台湾は我々にとって大変大事な友人だ。しっかり連携を強化したい」と述べた。3党の議員団結成は、台湾側の
招待を受けた前原氏が各党に呼びかけたといい、「我々も政権交代を目指していくわけで、野党も対話を大切にしている。
自民党だけではないとしっかり伝えたい」と意気込んだ。
会見には立憲の渡辺周衆院議員、維新の藤田文武幹事長も同席した。前原氏は「非自民・非共産」の野党勢力結集を訴えて
おり、地元の京都府議会と京都市議会で国民民主と維新の統一会派結成を主導するなど、維新との距離が近いことで知ら
れる。
(6月23日)
共産党の小池晃書記局長は23日、立憲民主党の泉健太代表の選挙区である京都3区に西山頌秀氏(前京都府議)の擁立を
予定していることについて、「泉代表が(共産党と)候補者調整はしません、とおっしゃっている訳ですから。こちら
は門戸を閉ざすつもりはないんですけど、向こうが今ある意味で門戸を閉ざしている」と指摘した。
立民内では野党共闘を求める議員グループの動きはあるが、現状では具体的な調整には進展していない。
(6月24日)
立憲民主党が、次期衆院選の公約で消費税減税の扱いに苦慮している。 過去の国政選挙では明記したが、党内には削除
を求める声も少なくない。対応を誤れば新たな火種となりかねず、執行部は難しい判断を迫られそうだ。
「消費税減税を公約に掲げたいが、党内の合意を得るのは大変だ」。立民の「次の内閣」メンバーの一人は23日、意見
集約の困難さを認めた。11日にメンバー間で協議したが、結論は出なかった。立民は2021年衆院選の公約に、新型コロナ
ウイルス感染拡大に伴う支援策として「税率5%への時限的な消費税減税を目指す」と明記。22年参院選の公約も、これを
踏襲した。
しかし、コロナ禍が収束に向かう中、ベテラン議員は「時限措置なのだから、次の公約では当然削除だ」と主張。党政調
の議論でも「取り下げるべきだとの意見が多い」(若手)という。旧民主党の野田政権は、消費税増税の方針を決定した。
この流れをくむ財政規律派が、公約からの削除を後押ししているとみられる。
一方で、党内には消費税減税を支持する意見も根強い。有志議員が15日、泉健太代表に申し入れた消費税率5%への引き
下げを求める提言には、党所属議員134人のうち60人超が名を連ねた。その一人は「消費税減税は国民生活に不可欠だ。
公約に入れるべきだ」と訴える。
次期衆院選では、共産党などが消費税減税を掲げる見通し。立民が公約から削除した場合、税負担の軽減を望む有権者の票
が、他の野党に流れる可能性もある。立民重鎮は「消費税減税に反対だが、それでは選挙を戦えない」と漏らした。
(6月25日)
読売新聞社の全国世論調査で、野党第1党の立憲民主党と野党第2党の日本維新の会のうち、自民党に対抗する野党と
して、どちらが主導権を握るべきか聞くと、維新が40%となり、立民の26%を14ポイント上回った。
次の衆院選での比例選の投票先を聞くと、自民38%、維新13%、立民9%などの順だった。
自民党と公明党が今後、連立して政権を担うべきだと「思う」は30%にとどまり、「思わない」が56%となった。
調査は23~25日に実施した。
(6月26日)
立憲民主党の五十嵐衣里東京都議(39)に銃撃をほのめかすメールを送ったとして、警視庁新宿署は26日、脅迫の疑いで
兵庫県西宮市の50代男性を書類送検した。捜査関係者への取材で分かった。
男性は容疑を認め「実際に危害を加えるつもりはなかった」と話しているという。
書類送検容疑は昨年11月11日午前10時半ごろ、「人の死を笑う 人間としてどうなのか あんたも銃で、、」などとする
メールを送信し、脅迫した疑い。検察に刑事処分の判断を委ねる「相当処分」の意見を付けた。
男性は、政治塾の集会で安倍晋三元首相銃撃事件について発言する五十嵐氏の動画をインターネットで見て「言い過ぎだと
思った」と説明している。
(6月27日)
立憲民主党の岡田克也幹事長は27日の記者会見で、次期衆院選小選挙区での野党間の候補者調整に重ねて意欲を示した。
「調整することで自民党候補を倒せる可能性があるならば、幹事長としてその道を徹底的に追求したい」と述べた。
同時に「与党の議席を少しでも減らすことは、野党共通の目標のはずだ」と強調。泉健太代表が共産党との候補者調整は
しないとした発言を問われ「代表もそうしたことまで否定したものではないと理解している」と語った。
(6月28日)
立憲民主党に離党届を提出した徳永久志衆院議員(比例近畿)は28日、滋賀県庁で記者会見し、離党の理由について
「(立民の)国会対応に違和感を覚えた。内閣不信任決議案は出すべきではなかった」と説明した。
当面は無所属で活動し、次期衆院選は滋賀2区から出馬する考えを示した。
これに対し、岡田幹事長は同日、国会内で記者団に、「厳しい対応は避けられない。責任は重い」と述べ、離党届を受理
せずに、除籍など厳しい対応で臨む考えを示唆した。
(6月29日)
立憲民主党で「離党ドミノ」の懸念が出ている。今月9日の松原仁氏(衆院東京3区)に続き、27日に徳永久志氏(衆院
比例近畿)が離党届を提出した。岸田文雄首相が今秋にも衆院解散・総選挙に踏み切る可能性が指摘される中、立憲執行部
は警戒を強めている。
岡田克也幹事長は27日、東京都内で徳永氏と面会し、徳永氏から離党届を預かった。立憲は来月4日の常任幹事会で対応を
協議する。岡田氏は28日、国会内で記者団に対し、徳永氏が常任幹事会メンバーで滋賀県連代表の立場にあることに触れ
「厳しい対応は避けられない。この時期に離党する責任は重い。比例は党の議席であり、党を離れるなら次の人に譲るのが
普通だ」と述べた。
松原、徳永両氏は次期衆院選に他党から立候補する可能性を否定していない。4月の統一地方選などで躍進した維新は報道
各社の世論調査で立憲の支持率を上回っており「2人とも維新の公認を狙っているのではないか」(立憲関係者)との臆測
も出ている。維新の藤田文武幹事長は28日の記者会見で「維新と共に戦いたいと言う人を門前払いして排除するつもりは
ない」と述べた。
(6月30日)
マイナンバーカードをめぐるトラブルが相次いでいることを受け、立憲民主党の長妻昭政調会長は30日、健康保険証の
原則廃止を来年秋から延長するための法案を、今秋の臨時国会に向けて準備する考えを明らかにした。
各党に賛同を呼びかけ、議員立法で提出するとしている。立憲は、マイナカードが円滑に利用できるような環境整備が整う
まで、保険証の原則廃止を延期すべきだと主張している。
長妻氏はこの日の党会合で「(政府が)廃止ありきで現場に号令をかけたことが(トラブルの)最大の原因の一つだ。立ち
止まる必要がある」と述べた。